野村総研社長に柳沢花芽氏、初の女性トップの持ち味
野村総合研究所は16日、2024年4月1日付で柳沢花芽常務執行役員(56)が社長に昇格する人事を発表した。8年ぶりの社長交代で、1965年4月の創業以来、初の女性社長となる。此本臣吾代表取締役会長兼社長(63)は社長を退任し、6月下旬の定時株主総会で代表権のない取締役会長に就く。若返りを図るとともに、16年度以降、続いた此本体制を引き継ぎ、新成長へとかじを切る。
システムエンジニア(SE)としてスタートし、96年からコンサルタントとして、主に企業顧客と向き合ってきた。19年の役員就任後は人事、人材開発の担当として手腕を振るい、20年間続いてきた人事制度を刷新。4月からは総合企画センター担当として、全社の事業戦略を統括してきた。
16日に都内で開いた会見で、柳沢氏は「4月始動の(3カ年の)『中計経営計画2025』と、(長期目標の)『2030グループビジョン』に向けて成長を加速するのが私の使命だ。目標達成には人的資本がカギとなる。挑戦する場を社員に提供し、会社と社員が相互に成長し合える関係を強化したい。精いっぱい努めていく」と抱負を語った。
【略歴】柳沢花芽氏 91年(平3)東大文卒、同年野村総合研究所入社。19年経営役人事部長、21年執行役員、22年同経営企画、人事、人材開発担当、23年常務執行役員事業戦略、コーポレートコミュニケーション、IR担当、総合企画センター長。神奈川県出身。
素顔/野村総合研究所社長に就任する柳沢花芽(やなぎさわ・かが)氏/オープンマインド持ち味
初の女性社長の登板に注目が集まるが、「入社以来、仕事の中で女性であることは意識したことがない」とさらりと答える。
持ち味はオープンマインドとコミュニケーション力。人事・人材開発担当時代も周囲の声に耳を傾け、全体をまとめ上げることでリーダーシップを発揮してきた。「会社が提供する挑戦する機会を社員がフルに生かし、顧客や社会に価値を提供していける関係づくりが大切だ」と強調。人的資本経営時代にうってつけの存在だ。
新社長の打診を受けたのは10月上旬。「予想もしていなかった」というが、すでに進むべき道を見据えている。目標を定めてしっかりとこなす実行力について、此本社長は太鼓判を押す。経営方針は大きく変えることはなく、まずは現状の方向性を維持する方針。
趣味はクラッシクバレエ、旅行、音楽鑑賞。バレエは今も現役で続けている。(編集委員・斉藤実)