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バンドー化学・ニッタ・三ツ星ベルト…伝動ベルト3社の通期予想、車減産解消で回復基調も予断許さず

バンドー化学・ニッタ・三ツ星ベルト…伝動ベルト3社の通期予想、車減産解消で回復基調も予断許さず

自動車用ベルト(バンドー化学公式サイトより)

伝動ベルト3社の業績が回復基調だ。主要顧客の自動車メーカーの減産解消が進んでいる。ただ各社の2023年4―9月期連結決算は注力市場や事業構成の違いで、増収営業増益はバンドー化学のみだった。24年3月期業績予想は3社とも増収営業増益を見込むが、インフレの長期化など予断を許さない状況が続く。

バンドー化学の23年4―9月期は、欧米の補修市場向けやアジアの2輪車向けといった比較的高収益な製品の販売が堅調だった。そのため、これらを含む自動車部品事業で売上高が前年同期比9・5%増だったのに対し、営業利益が同18・6%増と大きく伸長。「中国市場も昨年より回復した」(植野富夫社長)。24年3月期見通しは、中国の景気低迷や為替の円安などの外部要因を総合的に判断し、当期利益のみ期初計画から上方修正した。

ニッタは持ち分法適用会社のゲイツ・ユニッタ・アジア(GUA、大阪市浪速区)で手がける自動車用伝動ベルトが中国以外で需要が回復した。一方で中国は補修用の需要が回復し、GUAの自動車用伝動ベルト全体では前年同期比でほぼ横ばいだった。ニッタ全体では、原材料価格の高止まりや比較的高収益な半導体製造装置向けホース・チューブ製品が低調だったことなどが利益面で響いた。

三ツ星ベルトは国内外のベルト製品のうち、売上高の半分を占める自動車用が前年同期比2・8%増だった。一般産業用が同11・9%減、OA機器用が同15・1%減と大きく落ち込んだ。売り上げ構成の変化が16億3000万円の営業利益押し下げ要因となり、物流費の低下や為替の円安などの増益要因でカバーしきれなかった。


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日刊工業新聞 2023年11月17日

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