デンソーが売上高7.5兆円へ、成長領域「インバーター」は技術で差別化
デンソーは15日の経営戦略説明会で、2030年度(31年3月期)の売上高を22年度比1・2倍の7兆5000億円を計画すると発表した。30年度の営業利益率は12%とし、9000億円程度の営業利益を想定する。成長領域に位置付けるのがインバーターをはじめとした電動化製品と先進運転支援システム(ADAS)。電動化では30年度に売上高を22年度比2・5倍の1兆7000億円、ADASでは同2・6倍の1兆円を目指す。
半導体やソフトウエアなど基礎技術に磨きをかけ、電動化やADASなどモビリティーの進化に対応。培った技術はエネルギーや食農、工場自動化(FA)にも役立てる。
電動化のうち主力のインバーターでは22年度に349万台だった生産台数を30年度に1900万台へ引き上げる。競合と比べ冷却性能を1・4倍に高めるほか、炭化ケイ素(SiC)半導体の内製化技術で電力損失を20%低減するなど技術力で差別化する。安城製作所(愛知県安城市)を生産の軸として製品設計から量産の期間をデジタル技術を活用して半減する。
ADASではHMI(ヒューマンマシンインターフェース)との連携で、人協調型のシステムを実現。車の知能化を促し、交通死亡事故ゼロなど安心価値を最大化する。
ソフトウエア分野は30年度にソフトウエア人材を現状比1・5倍の1万8000人に増やし、35年度の事業規模を同4倍の8000億円に引き上げる。高性能半導体を活用し自動車内部のソフトウエアをまとめ、クラウドを通じて社会基盤と連携する「大規模統合ECU」の開発力を強化する。
林新之助社長は30年度に向け「自動車業界で役割を果たしながら他産業との連携を強化し、モビリティー社会の発展に貢献する」と強調した。
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日刊工業新聞 2023年11月16日