急斜面も遠隔移動、立木伐採して搬出するロボット開発
松本システムエンジニアリングが市場投入
松本システムエンジニアリング(福岡県篠栗町、松本良三社長)は、急斜面でも遠隔操作で移動し、立木を伐倒して搬出するロボットを開発した。作業現場が見えない状況でも専用ゴーグルの立体視映像を見ながら操作できる。市場投入は2024年春を予定する。林業現場での労働災害の減少につなげる。
作業者の安全確保をテーマに約6000万円かけて開発した。チェーンソーで切った木を、クランプがつかんで持ち上げてロボット前方に倒し、搬送する。車体構造の工夫などにより、小型軽量化を図り、転倒や機械の破損を防ぐ。オプションのユニットとして草刈り機や植栽機の搭載にも応じる。駆動にはクローラーを採用。実証では上り約35度、下り45度の斜面で伐倒した。
操作はロボットから100メートル離れてできる。将来は衛星通信を使い、さらに離れての操作も可能にする計画。価格は未定。3年間で300台の販売を目指す。松本社長は「林業現場の労働災害をなくすことを目指す」と話している。
林業には足場の悪い山中で伐採木など重量物を扱う作業が少なくない。林業における労働災害の発生率は、他の産業と比べて高いと言われており、安全性の向上が従来課題となっている。
林野庁は、21年6月に閣議決定した森林・林業基本計画に基づき、森林を適正に管理し、林業・木材産業の持続性を高めながら成長発展させることを目指している。同計画で新技術を取り入れた「新しい林業」の展開がポイントの一つとなっている。
日刊工業新聞 2023年11月10日