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もうすぐ春、春と言えば「スプリング」!

横浜の町工場が仕掛ける「おもしろバネ商品」の数々
もうすぐ春、春と言えば「スプリング」!

1本のステンレスを一筆書きのように曲げて製作したワインホルダー

 五光発條(横浜市瀬谷区、村井秀敏社長、045・921・0868)は、自社製品ブランド「BANETALITY(バネタリティ)」を創設、第1弾としてワインホルダーを近く発売する。新ブランドを通じて付加価値の高い自社製品を発信するのが狙いだ。価格はオープンだが、2500円前後を想定し、初年度は200万―300万円の売り上げを目指す。

 1本のステンレスを一筆書きのように曲げて製作した。デザインにこだわり、いろいろな瓶に対応できる角度やブドウらしいデザインを追求した。色はパープル、グリーン、シルバーなどを用意。富士山の形を模したワインホルダーも販売予定だ。

 山梨県のワイナリーや道の駅などで販売する予定だ。今後は同ブランドからガーデニンググッズやペット、旅行、ゴルフ商品を開発・販売する。

村井社長、過去に「バネのおもちゃ」開発


2013年7月3日


 創業40年を超える町工場の3代目社長が自社製品で勝負を挑む。五光発條(横浜市瀬谷区)の村井秀敏社長は、金属バネをブロック玩具のように組み立てて楽しむオリジナル製品「SpLink(スプリンク)」を開発した。バネをジョイント部品で連結していく仕組みで、カエルの置物から重量4キログラムの昇竜まで、さまざまなアート作品を組み上げられる。まずは8月上旬(注:本記事掲載は2013年7月3日)にもカエルやネコ、ペン立てのキット販売を始める計画だ。

 同社は材料線径2ミリメートル以下の精密バネを手がける。顧客はデジタルカメラなど家電関連が多い。村井社長はプラスチック金型メーカー勤務を経て1997年に入社。「その半年後には社長だった父にタイ現地法人への赴任を命じられた」と当時を振り返り苦笑いする。

 10年9月に3代目社長に就任。バネの世界は「日本で製造できるものは機械さえあれば海外でもできる」(村井社長)状況にあり、技術の差別化が年々難しくなっていた。製造業の海外移転も加速し、環境は厳しさを増すばかり。それでも村井社長は「どうせ継ぐなら100年後もバネ屋として存続させる」と奮起。町工場経営者の有志が集う「心技隊」への参加などを通じ、革新への意欲を強めていった。

 異業種展開を考えたこともあったが「それは『逃げ』」(同)と自戒し、本業のバネで勝負することを決意。そうした中、町工場の自社製品開発を支援するenmono(エンモノ、東京都渋谷区)との出会いが運命を変えることになる。

 同社が主催する「マイクロモノづくり経営革新講座」に12年9月から参加。同講座は「自分が欲しいものを開発する」ことに主眼を置き、製品企画段階で「自分が何にワクワクするのか」を重視する。「バネの魅力を伝えたい」「子供のころからブロック玩具が大好き」「手品やお笑いなど人を笑顔にさせるのが楽しい」―。村井社長が自身のワクワク感と向き合う中で「ある時、ふと浮かんだ」(同)のがSpLinkの発想だった。

 「町工場が自社製品をつくり、販売するのはものすごいパワーが必要。現場も最初は反対した」と村井社長。それでも次第に理解が広がり「今は従業員やその家族から、開発者の私でさえ想像もしない組み立てテクニックを提案されるまでになった」とニッコリ笑う。

 連結しやすく抜けにくいジョイント構造などの特許出願を済ませ、現在はenmonoが運営する資金調達サイト「zenmono(ゼンモノ)」を活用し商品化の準備を進めている。「バネの光沢や伸縮性はブロック玩具にない魅力」と村井社長は強調する。組み立てに手先や脳を使うため、教材やリハビリでの使用も想定している。「将来は子供向けイベントとの連携や、作品を競う大会なども開きたい」とワクワクで世界をつなげたい考えだ。


日刊工業新聞2016年3月11日中小企業・地域経済面
斉藤陽一
斉藤陽一 Saito Yoichi 編集局第一産業部 デスク
 「SpLink」の件を取材したのは2013年6月。その後、クラウドファンディングサイトの「zenmono」で目標を超える55万円の資金調達に成功し、無事、製品化に至りました。

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