大手飲料メーカーなどが睡眠の質を改善する機能性表示食品の飲料を相次いで発売している。コロナ禍を経て環境変化により睡眠の質を求めるニーズが高まり、睡眠機能のある小型ドリンクの販売は２０２２年に急増している。キリンビバレッジが乳酸菌飲料「キリン　おいしい免疫ケア　睡眠」を投入。さらに森永乳業が清涼飲料水「睡眠改善」を、ユーグレナも睡眠の質改善などの機能性表示食品の飲料を発売している。（編集委員・井上雅太郎）

睡眠の質向上に役立つ機能性表示食品ではヤクルト本社が販売している「ヤクルト１０００」が代表格。この大ヒットでインテージの調査によれば、２２年の睡眠機能をうたう小型ドリンク（２２０ミリリットル以下）の販売金額は前年比約６・７倍の約２８２億円に跳ね上がった。それだけに睡眠不足の対策を求めるニーズが高いことが明らかだ。ここにきて飲料メーカーなどが相次いで同市場に参入している。

キリンビバレッジは独自素材のプラズマ乳酸菌とＧＡＢＡ（アミノ酸の一種）を配合し、免疫ケアと睡眠の質改善に役立つ「キリン　おいしい免疫ケア　睡眠」を１０月に発売した。同社の調査によると「睡眠課題が免疫にも影響していると感じる人が多いことが分かった。手軽に対策できる飲料タイプの人気がある」という。販売は好調で、発売から３週間で年間販売目標の５割に達した。目標の上方修正は確実な状況になっている。

また、森永乳業はＬ―テアニンを機能性関与成分とし睡眠の質を改善（起床時の疲労感を軽減）する機能性表示食品の飲料「睡眠改善」を今秋に発売した。Ｌ―テアニンはリラックス作用を促す神経細胞を増強し、興奮を活発化する細胞を抑制する仕組みで機能するとみられる。「常温で賞味期限１５０日の長期保存が可能。毎日続けやすい商品設計にこだわった」（同社）と開発のポイントを強調する。

ユーグレナは独自素材の「ユーグレナグラシリス由来パラミロン」（β―１，３―グルカンとして）を機能性関与成分とする飲料「からだにユーグレナ　ピーチミックス風味　乳酸菌入り」を投入した。独自素材が睡眠の深さやスッキリした目覚めの効果が期待できるほか、植物性乳酸菌「Ｋ―１」により腸内環境を整えるのに役立つとする。同社は「素材の認知を拡大し、機能性の理解を促進してブランドの信頼性を高めたい」と期待する。

睡眠改善の効果に役立つ機能性表示食品ではサプリメントタイプが多く市場投入されており、ここにきて小型のドリンクタイプが増え競争が激しくなっている。開栓してすぐ飲める手軽さが人気の背景にあるようだ。