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三菱ふそうが「EVトラック」ダイムラーにOEM供給、北米新車販売に再参入の戦略

三菱ふそうが「EVトラック」ダイムラーにOEM供給、北米新車販売に再参入の戦略

ダイムラー・トラックが米国で発売する「RIZON」ブランドのEVトラック(イメージ)

三菱ふそうトラック・バスは親会社の独ダイムラー・トラックに米国市場向けの電気自動車(EV)トラックをOEM(相手先ブランド)供給する。このほど米環境保護局(EPA)とカリフォルニア州の大気資源委員会(CARB)の認証を取得。「RIZON(ライゾン)」ブランドとして年内にも同州で納車が始まる見通し。三菱ふそうは2020年に北米新車販売から撤退しており、実質的に約3年半ぶりの再参入となる。世界最大の商用車グループのスケールメリットを生かしてコスト競争力を高め、環境規制が強まる北米でシェア拡大を目指す。

RIZONは車両総重量(GVW)約7・2―8・1トンで、米国市場で中型トラックセグメントの「クラス4」「同5」に分類される。三菱ふそうの小型EVトラック「eキャンター」がベースとみられ、川崎製作所(川崎市中原区)で生産して輸出する。現地で架装し、北米とメキシコに拠点を置くベロシティー・ビークル・グループ(カリフォルニア州)のディーラー「ベロシティーEV」が販売やサービスを担う。ダイムラーは米国全土で拡販するため、今後ディーラーを追加認定する計画だ。

搭載する電池モジュールの個数別などで4モデルを発売する。航続距離は電池モジュールを二つ搭載した車で最大177キロメートル、三つ搭載した車では同257キロメートル。都市部の小売り物流、ラストワンマイル(目的地までの最終区間)輸送や、ゴミ収集車などの自治体業務に携わる企業の利用を想定する。

カリフォルニア州は州内で販売する商業用トラック、バンについて二酸化炭素(CO2)を排出しないゼロエミッション車(ZEV)の割合を引き上げることをメーカーに義務付けており、同様の動きは他州にも広がる。いすゞ自動車は24年に北米で小型トラック「Nシリーズ(日本名エルフ)」のEV仕様を発売する。日野自動車も24年をめどに米国で中・大型EVトラックの発売を予定する。

日刊工業新聞 2023年11月03日

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