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「世界的な流れに乗りたい」…THKが自社開発EVの公道実証に乗り出す狙い

「世界的な流れに乗りたい」…THKが自社開発EVの公道実証に乗り出す狙い

THKの「LSRー05」

THKは2025年末をめどに、電気自動車(EV)の公道実証に乗り出す。機械要素部品メーカーとしてのノウハウを生かして実走行可能なEVをこのほど開発。実証を通じてデータを収集し、EV関連事業の拡大に向けて可能性を検討する。急成長が見込まれるEV需要を取り込みたい考え。現時点で販売形態などの詳細は決まっていないものの、将来の市場投入も視野に入れる。

国内最大の自動車展示会「ジャパンモビリティショー2023」で、世界初公開した実走行可能なEVのプロトタイプ「LSR―05」で公道実証を実施する。計算上の航続距離は600キロメートルを確保。THKが得意とする直動案内機器などEV向けの先進技術を多く搭載した。

一例として座席シートの機構には直動案内機器「LMガイド」を配置して、滑らかな動作と広い可動域を実現した。独自開発のインホイールモーターで、左右独立駆動によって操縦安定性を向上。同社製の高剛性ボールネジスプラインを用いた可変磁束機構によって高トルクと高回転を両立した。

日産自動車でデザインを率いた中村史郎氏が代表を務めるSN DESIGN PLATFORM(東京都渋谷区)と共同でデザインした。モデルベース開発(MBD)の手法を取り入れることで、約2年の短期間で製作までこぎ着けた。

25日、日刊工業新聞社の取材に応じた寺町彰博社長は、「世界的なEV化の流れに乗りたい」と話した。プロトタイプの完成度合いについては「90点のところまで来ている。スピード感を重視しながらブラッシュアップしたい」と述べ、今後の開発への意気込みを述べた。


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日刊工業新聞 2023年10月26日

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