改造バス初披露…住友電工が自らEVを造ったワケ
住友電気工業は東京・有明の東京ビッグサイトなどで26日から開かれる「ジャパンモビリティショー2023」で、電気自動車(EV)に改造した小型バス(写真)を初めて披露する。自らEVを造ることで自動車メーカーと同じ視点に立ち、電装製品の提案力を高める狙いから製作した。乗車すればワイヤハーネス(組み電線)などを可視化できるよう展示し、EVを支える技術力をアピールする。
フォルクスワーゲンの旧型商用車「トランスポーター」を8人乗り小型バスに改造した。自動車メーカーには提示したが、公開するのは初。モーターやインバーター、電池パック、車台など基本から構想し、海外企業の支援も得て独自設計し約2年で組み立てた。
モーターの出力やトルクは、改造前のガソリンエンジン比で約2―3倍高めた。満充電で170キロメートル走行でき、最高時速は131キロメートル以上。サーキットで実走した。同ショーではワイヤハーネスや電装の安全装置など住友電工が手がける車載部品などを外へ見えるようにし、EVの電装技術を分かりやすく説明する。
EVを自作したのは完成車の視点から技術提案できる意識改革が狙い。実際にEVを組み立てた結果、電装より上のレベルの価値について、自動車メーカーと議論できる機会が増えている。自動車メーカーと同じ視野で思考できる力を付け、電装技術の付加価値を高める。今後は同ショー以外にも出展するほか、三重県四日市市の事業所での展示も検討する。
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日刊工業新聞 2023年10月19日