エコファクトリーが開発、動力いらない雨水濾過装置の仕組み
エコファクトリー(熊本市中央区、村上尊由社長)は、ポンプなどの動力を使わない雨水濾過装置を開発した。重力を生かして複数段階の濾過などで処理する。省エネルギー型システムとして提案し、11月から代理店を通じて販売する。販売目標は年間1000台。韓国や台湾への輸出も目指す。
装置で処理した後の水質は外部の検査機関で安全性を確認した。雨水は雨どいから取り込み、ゴミなどを分離した後、濾過布と濾過フィルターで細かい不純物を取り除く。貯水量は、500リットルの貯水タンクを連結させるなどして設置場所に応じて設定できる。水の逆流で濾過フィルターを洗浄する機能も備える。
装置の名称は「ecowin(エコウィン)ウォーター」。本体価格は消費税込みで仕様により66万円から。工事費用などは別。製造は藤興機(熊本県八代市)に委託する。企業支援機関である、くまもと産業支援財団が両社を引き合わせた。
濾過水は洗車のほか、夏場の空調装置の室外機の温度を下げるための利用を提案する。
エコファクトリーは輻射(ふくしゃ)熱を利用した冷暖房機器などを開発する。村上尊宣会長は「太陽光や発光ダイオード(LED)などで省エネに取り組む企業は多いが、雨水を使った省エネに挑む企業は少ないのではないか」と話す。
熊本県では半導体関連など工場の新増設による地下水利用の関心が高まっている。雨水の再利用を進める装置の普及で地下水の保全や県内全体の水の消費量削減に貢献したい考え。
日刊工業新聞 2023年10月04日