GaNデバイスを高速駆動できるゲートドライバーIC、ロームが投入
ロームは窒化ガリウム(GaN)デバイスを高速駆動できるゲートドライバーIC「BD2311NVX―LB=写真」を発売した。ナノ秒(ナノは10億分の1)クラスのゲート駆動速度を実現。最小ゲート入力パルス幅1・25ナノ秒で、GaNデバイスを高速スイッチングできる。消費税抜きのサンプル価格は900円。高性能センサー「LiDAR(ライダー)」駆動回路などでの利用を想定する。
新製品はローム独自の駆動方式を採用することで、スイッチング時に規定を超える電圧値が一瞬発生するオーバーシュートの抑制機能を搭載。過電圧入力によるGaNデバイスの故障を防ぐ。ローム製のGaNデバイスと組み合わせて回路を構成することで、回路設計を容易にできる。
GaNデバイス実装が期待されるデータセンターや基地局などの入力降圧コンバーター回路などでの採用も想定する。今後、一般的な半導体デバイスより小型な「WLCSP」と呼ばれるウエハーレベルの極小パッケージの同ドライバーICも順次投入する。
GaNデバイスは高速スイッチング性能が特徴で、シリコン製のパワー半導体と比べてスイッチング損失を大幅に削減できる。一方、GaNデバイスはゲート耐圧や駆動電圧が低く、性能を最大限引き出すゲートドライバーICが必要とされていた。
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日刊工業新聞 2023年09月21日