6割省人化、鹿島がトンネル工事に全自動コンクリ打設システム導入
鹿島は京都府宇治田原町で手がけるトンネル工事で、締め固め作業が不要な覆工用高流動コンクリートを用いた独自の「全自動トンネル覆工コンクリート打設システム」を導入した。実工事での利用は初めて。打設時の作業員を従来より60%減らすとともに、コンクリートの表層品質を均質にできる効果を引き出した。他のトンネル工事への導入も進め、もう一段の施工合理化につなげる。
「新名神高速道路宇治田原トンネル西工事」の一部区間(約84メートル)で導入した。作業員が狭い現場で行う締め固め作業を不要にし、従来は7人を要した打設作業を3人で行える体制を構築した。
併せて、コンクリートの充填性や硬化後の仕上がり、表層の品質も問題ないことを確認した。中長期では型枠の設置からコンクリートの打設、養生まで全作業工程の自動化を目指す。
トンネル工事における覆工コンクリートの打設では、締め固めや配管の切り替えなど狭い空間での苦渋作業が課題とされている。また作業員の技量や熟練度に品質が左右されたり、労働災害が発生しやすかったりするため、覆工コンクリート打設の自動化ニーズが高まっていた。これを踏まえ、鹿島は2020年に今回のシステムを開発。模擬トンネルで有用性の確認を終えていた。
日刊工業新聞 2023年09月18日