ヤマハ発動機の水上バイク「ウェーブランナー」が採用、日本製紙「CNF強化樹脂」の実力
ヤマハ発動機の水上バイク「ウェーブランナー」などのエンジンカバーに、日本製紙が手がける木材パルプ由来のセルロースナノファイバー(CNF)強化樹脂が採用された。CNF強化樹脂を用いた輸送機器部品の量産化は世界初という。
CNF強化樹脂は、バイオマス素材のCNFをポリプロピレンなどプラスチック樹脂に混練・分散して製造される高強度な新素材。プラスチック樹脂のみ材料に比べ25%超の軽量化が可能で、マテリアルリサイクル性が高い。プラスチック使用量と二酸化炭素(CO2)排出量の削減につながる。
ヤマハ発動機はウオータージェット推進機を搭載する「スポーツボート」にも採用し、いずれも2024年モデルとして北米で販売を始めた。同社は将来、2輪車へのCNFの幅広い活用を検討していく。日本製紙とは22年秋にエンジン部品への採用を目指し、共同開発を公表していた。
日本製紙は年50トン超のCNF強化樹脂の生産能力を持つ。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受け、富士工場(静岡県富士市)に混練中心の実証拡張設備を整備した。今回の量産化で品質の向上やコスト低減、新用途の開発などを加速する。
CNFの輸送機器への展開については、大王製紙の素材がモータースポーツのレース車両用のフロント・リアボディーなどに導入された事例がある。
日刊工業新聞 2023年08月28日