優秀だからない「不良品」画像をAI生成、外観検査の精度向上
RUTILEA(ルテリア、京都市中京区、矢野貴文社長)は、部品などの人工知能(AI)外観検査で教師データとして必要な不良品画像を、AIによって生成できる無料ウェブサービスを18日に始める。同社が開発した画像生成AIを活用しており、専用ウェブページ上に検査対象の良品画像をアップロードすると不良品画像を生成できる。不良品画像を円滑に入手したい顧客を支援し、AI外観検査の普及を促進する。
ルテリアは同サービスの利用状況や引き合いなどから不良品画像生成AIのニーズを把握し、画像生成速度などの機能面を向上させた有料版ウェブサービスの開発や提案につなげる。
同サービスでは金属部品やネジ、食品など幅広い加工対象物(ワーク)の不良品画像のAI生成が可能。ワークの良品画像を専用ウェブページにアップロードし、ひっかき傷やヒビ、へこみといった不良の種類や不良箇所などを入力すと、良品画像一つにつき、1―2分で五つの不良品画像を生成できる。
例えば、弁当に使われる白米をAI外観検査で良否判定する場合、検査精度を高めるには教師データとして不良品画像が必要になる。同ページ上に商品として問題ない白米の画像をアップロードすると、不良品画像として虫などが付着した白米の画像を生成する。
AI外観検査は良品、不良品ともに教師用の画像データが多ければ検査精度が向上する。一方、不良品画像は良品画像より入手しづらく、同検査の導入や検査精度向上の足かせとなっていた。ルテリアの柴田恭佑最高執行責任者(COO)は「日本の製造業は優秀で、不良品発生が少ない。現場によっては、たまに発生する不良品を見つけるために、検査員を現場に常駐させることもある」と話す。
同社は外観検査AIなどを手がけるスタートアップ。同AI開発で培った検査精度を高めるためのノウハウなどを生かし、不良品画像生成AIを開発した。既に同AIを活用した不良品画像の販売を個社ごとに実施しており、多数の引き合いがあるという。