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自動車用ワイヤハーネス堅調…電線4社の通期予想の全容

自動車用ワイヤハーネス堅調…電線4社の通期予想の全容

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電線大手4社が2024年3月期連結業績予想を据え置いた。4社中3社が増収営業増益を見込む。半導体不足の緩和で自動車の生産台数が回復したことを受け、自動車用ワイヤハーネス(組み電線)の需要が堅調に推移。為替の円安傾向も収益に寄与する。ただ北米のデータセンター(DC)需要は顧客の投資抑制や在庫調整により減少が続き、光ファイバーケーブル関連事業に打撃となる。こうした状況は下期も続くとみられる。

古河電気工業は24年3月期連結業績予想で北米DCの需要減少に伴い、光ファイバーケーブルなどの情報通信ソリューション事業の下振れを見込む。回復傾向が見え始めたワイヤハーネスをはじめとする自動車部品や電池などで挽回する計画だ。福永彰宏取締役兼執行役員常務は「23年4―6月期から北米や中南米での(光ケーブルの)需要が急速に減少している。足元は非常に厳しい状況にあり、固定費の削減、操業に合わせた人員配置を進める」と語る。

北米ではコロナ禍を踏まえて光ファイバーケーブルなどの在庫を確保しようとする事業者が多かったが、需要の減少で過剰在庫を解消しようとする動きへ変わった。そのため顧客から受注が入らないことに加え、キャンセルも起こっているという。回復時期については「早くても24年1月以降になる」(福永取締役兼執行役員常務)。

一方、ワイヤハーネスは改善傾向にある。古河電工では23年4―6月期の出荷量が前年同期比で15―20%回復した。住友電気工業も同様にワイヤハーネスの出荷量が増え、受注量は計画を上回った。

フジクラはメキシコでの新車種向け事業の立ち上げにより、23年4―6月期のワイヤハーネス事業は増収となった。だが現地の通貨高で人件費が高騰しており、営業損益は赤字だ。23年度下期以降の黒字化を目指す。

日刊工業新聞 2023年08月16日

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