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光通信を大容量化へ、東工大が磁気光学結晶薄膜部品を樹脂フィルムで転写

光通信を大容量化へ、東工大が磁気光学結晶薄膜部品を樹脂フィルムで転写

作製した光アイソレーターとYIG薄膜部品(東工大提供)

東京工業大学の峰村大輝大学院生と庄司雄哉准教授、産業技術総合研究所の高磊主任研究員らは、磁気光学結晶薄膜部品を樹脂フィルムに貼り付けて載せ替える転写技術を開発した。厚さ1マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の薄膜部品を光導波路の上に載せ替えて一方向にのみ光を通す素子を作製した。光源と集積できるようになり、光通信の大容量化につながる。

イットリウム鉄ガーネット(YIG)の磁気光学薄膜で、光の向きによって透過率が変わる光アイソレーターを作製する。まず基板上でYIGを結晶成長させて薄膜化する。これを裏返してリシカ上に仮止めし、基板を研磨、エッチングして光アイソレーター用の部品形状に加工する。

その後、シリカを溶かして除去するとYIG薄膜部品が浮いた状態になる。これをシリコーン樹脂フィルムの粘着力でピックアップし光導波路の上に載せ替える。幅50マイクロ×長さ800マイクロ×厚さ1マイクロメートルのYIG薄膜部品をハンドリングできた。

光アイソレーターとしては順逆方向遮断比が96%。反射光を防いでノイズを抑える。

回路面積は10分の1、体積は300分の1となり、レーザー光源や光増幅器と一体積層できる大きさになった。

日刊工業新聞 2023年08月11日

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