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KDDI・三井物産が新会社、コンタクトセンター業務のデジタル高度化

KDDI・三井物産が新会社、コンタクトセンター業務のデジタル高度化

左からKDDIの桑原康明取締役執行役員専務、KDDIエボルバの若槻肇社長、りあいあコミュニケーションズの網野孝社長、三井物産の小日山功執行役員

KDDI三井物産は、消費者からの相談に応じるコンタクトセンターの設計・運営事業を統合して9月に新会社を設立する。消費者とのやりとりが音声からデジタルに移行する中、KDDIの情報通信技術(ICT)や三井物産の事業開発力を融合し、生成人工知能(AI)なども活用してサービスの高度化を進める。応対データを使った企業コンサルティングにもサービス領域を広げ、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO、業務委託)事業の拡大を図る。(編集委員・田中明夫)

KDDI子会社のKDDIエボルバと三井物産の持分法適用会社りらいあコミュニケーションズを統合し、9月にアルティウスリンクを設立する。出資比率はKDDIが51%、三井物産が49%。社長には三井物産出身で、りらいあコミュニケーションズ社長の網野孝氏が就任する。売上高約2400億円とコンタクトセンターで国内最大規模の会社となる。

音声など人主導からテキストやウェブ対応へ移行しているコンタクトセンター業務で、デジタル変革(DX)対応を加速する。KDDIの桑原康明取締役執行役員専務は「(スマートフォンなどの)デバイスから得られるデータに加え、消費者の声をデジタル化して分析できれば顧客企業のDXを推進できる」と強調する。

生成AIなどを使って自動応対や消費者ニーズの分析を強化し、オペレーターはより高度な業務に対応する。アルティウスリンク社長に就任する網野氏は「消費者の興味や思考をデータから理解し、ターゲットに合わせたコンテンツを作ってサービスを高度化する」とし、同社の約5万8000人の雇用については「人材確保のほうが大きな課題になる」と人員削減に否定的な姿勢を示した。

また、消費者データと外部データを掛け合わせて分析し、コンサルティングサービスを提供するなど周辺領域の事業を拡大させる。三井物産の小日山功執行役員は「コンサルティング力や提案力を強化し、ワンストップで業務ソリューションを提供していく」とし、同社の事業ネットワークを活用してアルティウスリンクのBPO事業の海外展開も図る。

KDDIと三井物産は2022年に人流分析などで都市のDXを推進する合弁会社ジオトラを設立。土木・交通、観光、防災など周辺領域を取り込みながら次世代ビジネスの創出を強化している。

日刊工業新聞 2023年07月26日

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