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光通信の大容量化へ、東北大が透過率90%超の結晶化ガラスファイバー開発

光通信の大容量化へ、東北大が透過率90%超の結晶化ガラスファイバー開発

完全表面結晶化ガラスファイバーの顕微鏡観察結果:(a) 偏光顕微鏡写真。結晶化熱処理温度の低下に伴い、空孔の発生が抑制され(左部)、結晶化組織が均質化した(右部)。 (b) 電子線後方散乱回折法による断面の結晶方位分布。Sr2TiSi2O8結晶のc軸が放射状に並んだ配向構造を持ち、中心部にはガラス相(黒色領域)が存在する(東北大学の発表資料より)

東北大学の中村拓真大学院生と高橋儀宏准教授、藤原巧教授らは、透過率90%以上の結晶化ガラスファイバーを開発した。光学結晶材料は光の制御に用いられる。光ファイバーのように信号伝送と信号制御を担える可能性がある。光通信の大容量化につながる。

ファイバーの中心軸から放射状に結晶が配向した多結晶ガラスファイバーを開発した。ストロンチウム・チタン・シリコン酸化物に二酸化チタンと二酸化ケイ素を過剰に加えて結晶化させた。すると結晶の隙間や中心に余剰成分が集まってガラス化する。

熱処理の温度を940度Cから800度Cに下げ、1時間から36時間に延ばすと空孔にガラスが満たされ透過率が向上した。1センチメートル当たり90%以上で光学単結晶に匹敵する。従来材は同80%だった。配向結晶構造を用いたファイバー型の非線形光学素子につながる。

日刊工業新聞 2023年07月20日

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