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天草エアライン、たった1機の「みぞか号」退役。16年で地球310周分飛ぶ

そして2代目「みぞか号」就航
天草エアライン、たった1機の「みぞか号」退役。16年で地球310周分飛ぶ

福岡から天草へ到着した初代みぞか号の最終便

 天草エアラインが唯一運航する小型機、ボンバルディアQ100(DHC-8-103)型機「みぞか号」が2月19日夜、最後の運航を終えて退役した。

 みぞか号は、天草空港の開港や天草エアラインの就航と同じ2000年3月23日に運航を開始。「かわいい」を意味する天草の方言「みぞか」を冠した機体は、同社唯一の機材として16年間に渡り、天草-福岡線と熊本線、熊本-伊丹線などの路線で多くの乗客を運んだ。

 2000年の就航当初は、イルカの姿が見られる天草にちなみ、白を基調とした機体に水色のイルカを描いた、小学生のデザインによる「イルカ号」だった。みぞか号となったのは2013年2月25日。横田青史氏のデザインで、機体が親イルカの「みぞか」、左エンジンは「はるちゃん」、右は「かいくん」と名付けられた子供のイルカが描かれた。

 最終日の19日は、天草-福岡線を2往復4便運航。機内ではみぞか号の模型が当たる抽選会が開かれ、搭乗証明書とポストカードが客室乗務員から手渡された。多くの乗客が機体を乗り降りする際、みぞか号の姿をデジタルカメラやスマートフォンに収めていた。

 初代みぞか号による最終便となった福岡発天草行きMZ108便は、午後7時52分ごろ到着。ターミナルの展望デッキには、多くの人が詰めかけた。

 天草エアラインの吉村孝司社長は、「16年間無事故でがんばってくれた。総飛行距離は約1250万キロメートルで、地球を約310周まわったことになる。運んだお客様は約120万人で、傷だらけになりながらがんばってくれた」と労をねぎらった。

 「みぞか号は私たちの会社での役目を終え、デンマーク国籍で日本を旅立つことになった。その後どうなるかはまだわからないが、まだまだ飛べるので、世界のどこかで元気に飛び回ってくれると信じている」と語った。

 運航を終えたパイロットと客室乗務員がターミナルに到着すると、将来はパイロットになりたいという男の子が、谷本真一機長にみぞか号の絵をプレゼントした。

 20日からは、2代目「みぞか号」(ATR42-600型機)にバトンタッチ。座席数は初代の39席から9席多い48席となり、機内空間もゆとりを持たせたサイズになる。コックピットはエアバスA380型機の技術を取り入れたグラスコックピットで、最新の航法機器を装備する。

2代目に合わせ新制服も導入


 天草エアラインは2月20日、新造機の2代目「みぞか号」(ATR42-600型機、登録番号JA01AM)を就航させた。国内でATR42を運航するのは、天草エアラインが初めて。

 2代目みぞか号初便の福岡行きに搭乗する乗客=16年2月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
乗降は後部ドアに

 2代目みぞか号は仏ATR社製のターボプロップ機で、19日に退役した初代みぞか号(ボンバルディアDHC-8-103型機)の後継となる新造機。天草エアラインが唯一運航する機体で、天草-福岡線を1日3往復、天草-熊本線と熊本-伊丹線を1日1往復ずつ運航する。

 「みぞか」は「かわいい」を意味する天草の方言。初代と同様、機体が親イルカの「みぞか」、左エンジンは「はるちゃん」、右は「かいくん」と名付けられた子供のイルカが描かれた。

 座席数は初代より9席多い48席で、エンジンはプラット・アンド・ホイットニー・カナダ製PW127Mを2基搭載。コックピットはエアバスA380型機の技術を取り入れたグラスコックピットで、最新の航法機器を装備する。

 ワインレッドの客室内装はイタリアのデザイナー、ジョルジェット・ジウジアーロによる「ARMONIAデザイン」で、イタリア語で調和を意味する。機体下部には熊本県の人気キャラクター「くまモン」がサンタクロースに扮した「モンタクロース」を描いた。

 貨物室は機体の前後に1カ所ずつ設けられ、コックピットと客室の間と機体後部に設けられている。このため、後部ドアから乗り降りする。

 2代目みぞか号は2015年8月21日に熊本空港へ到着。9月29日には地元自治体などを招いた内覧会が、同空港内で開かれた。天草には2016年1月7日に到着し、前日まで地元での訓練を続けて、就航当日を迎えた。

 初便は福岡行きMZ101便。雨の中社員に見送られて午前7時59分(定刻午前8時)に天草を出発し、福岡には午前8時42分(同8時35分)に到着した。

 天草エアラインは機材が1機のみのため、みぞか号の機材更新に伴い、2015年8月から就航前日まで減便。天草-福岡線のみ運航を続けてきた。出発前に天草空港で開かれた記念式典で、天草エアラインの吉村孝司社長は、「ATRの就航で、従来通り1日10便(5往復)運航出来るようになった。エンジン音が静かで、機内でも快適に過ごしていただける」とあいさつした。

 また、2代目みぞか号就航に伴い、客室乗務員や地上旅客係員らが着用する制服も、新デザインのものを導入。ストレッチ素材を取り入れ、身体を動かしやすくした。

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吉川忠行
吉川忠行 Yoshikawa Tadayuki Aviation Wire 編集長
天草エアラインの初代みぞか号が19日夜の福岡発天草行きで退役。16年間の運航に幕を下ろしました。

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