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IoT向け好調でMVNO回復の兆し、ドコモ・UQなど料金プラン改定の影響は?

IoT向け好調でMVNO回復の兆し、ドコモ・UQなど料金プラン改定の影響は?

ドコモの新料金プラン「イルモ」がMVNOの契約動向に影響する可能性がある(同社による発表会=6月)

仮想移動体通信事業者(MVNO)市場がIoT(モノのインターネット)需要などを取り込み、回復の兆しを見せている。MM総研(東京都港区、関口和一所長)によると、MVNOが提供する「独自サービス型SIMカード(契約者情報記録カード)」の回線契約数は3月末に前年同月比4・2%増の1312万1000回線だった。NTTドコモなど携帯通信大手が相次ぎ料金プランを改定する中、MVNOは拡大基調を維持できるかが問われる。(張谷京子)

MM総研によると、MVNOがSIMカードを活用して独自の料金プランで提供する回線サービスである独自サービス型SIMの回線契約数は、2020年9月末をピークに急減。21年以降は横ばい傾向が続いていた。

ドコモをはじめとする移動体通信事業者(MNO)は、政府の通信料値下げ要請を踏まえ、21年からオンラインで申し込みを受け付ける割安な料金プランなどを投入。この結果、MVNOは武器としてきた価格優位性が薄れ、苦戦を余儀なくされてきた。

ただ、足元でMVNOの契約数は改善しつつある。IoT向け用途が好調なほか、楽天モバイルが22年7月に月額0円の料金プランを廃止し、同社の利用者の一部がMVNOへ流出したことが背景にある。

今後は、MNOや一部MVNOが、携帯電話会社を乗り換える際に必要な手続きを一元化する「MNPワンストップ」方式を23年5月に始めたことなども追い風になりそうだ。MM総研は24年3月末の独自サービス型SIMの回線契約数を前年同月比10・5%増の1450万回線と予測している。

変数となるのは、ドコモが1日に提供を始めた新料金プラン「irumo(イルモ)」の影響だ。ドコモは傘下のNTTレゾナントを1日付で吸収合併。同社がMVNOサービスとして手がけてきた「OCNモバイルONE」のウェブでの新規申し込み受け付けも終了した。ドコモはイルモについてデータ使用量が少ない顧客が割安に使える点などを訴求しており、業界関係者の間ではイルモをOCNモバイルONEの後継サービスと位置付ける向きが多い。

MM総研によると、NTTレゾナントは23年3月末の独自サービス型SIMの事業者シェアが15・3%で2位だった。ドコモによるレゾナントの吸収合併で、同社のシェアは減少が予想される。加えて、MVNOの料金プランからイルモへの流入が進めば、他のMVNOの契約数減少も見込まれる。

MNOはドコモに限らず、料金プランの刷新に動いている。KDDIは携帯通信サービスのサブブランド「UQモバイル」の料金プランを6月に改定。楽天モバイルは6月に、KDDIから回線を借りる「ローミング」利用によるデータ利用量の上限をなくした。こうした動きが、MVNOによる独自サービス型SIMカードの回線契約数の推移に、どう影響を及ぼすかが注目される。

日刊工業新聞 2023年07月13日

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