DC・半導体工場向け、富士電機が電設受託で攻勢に出る
富士電機はデータセンター(DC)や半導体工場など向けの電機設備受託事業を強化する。このほど同事業のコア商材である大容量無停電電源装置(UPS)で業界最大級となる単機容量2400キロボルトアンペアの製品を開発。顧客に対しシステム設計から取り付け、保守サービスまで一貫提案する中、新製品の投入で一層の差別化につなげる。UPS単体では前機種と合わせ、2026年3月期に23年3月期比50億円増の80億円の売り上げを目指している。
UPSは、停電や電源の異常などが発生した際、電力を供給し続けることで機器やデータを保護する装置。
人工知能(AI)技術の発達やデジタル変革(DX)の推進などでDCの需要は増大しており、国内外で新設が相次ぐ。さらに「ハイパースケールデータセンター」と呼ばれる2万キロボルトアンペア以上の大容量電源が必要な巨大なDCの建設も増えており、UPSのさらなる大容量化や小型化が求められていた。
新製品は21年6月に投入した製品の後継機。1台600キロボルトアンペアのUPSユニット4台と周辺盤の一体設計とし、設置面積を同社の以前の機種より25%削減した。DCにとってUPSが小型化すればその分、サーバーを置く場所が増える。
また盤内構造の配線数を削減したり、ケーブルを電力用幹線部材「バスダクト」で接続するなど最適化し、設置にかかる費用や時間を30%程度削減できる見込みという。
このほか商用電源の安定時には電源からの給電で運転する高効率運転モードに切り替えることができ、電力変換効率98・5%を実現できる。このため電気料金を最大で年間約1400万円、二酸化炭素(CO2)排出量を同245トン削減可能となる。
富士電機は現在、DC向けUPSの国内シェアで約40%を握る首位。新製品投入で競争力を高め、地位を強固なものとする。24時間365日で稼働する半導体工場の新設も国内で増えており、そうした需要にも対応する。
またDCや半導体関連の売上高は24年3月期で前期比約20ポイント増の伸び率を想定している。
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