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「次回1個無料」もう限界…コンビニに迫られる集客策の見直し

「次回1個無料」もう限界…コンビニに迫られる集客策の見直し

レシートについているサンプル券(イメージ)

大手コンビニエンスストアが行っている、商品を1個買うと次回1個無料の引換券付きレシートが出てくるキャンペーンが転換点を迎えている。購入客は1個分の支払いで2個を手に入れることになり「お得」を感じられるため好評だが、実質的に経費を負担する食品メーカーからは「原材料価格高騰の中では厳しい」などの声が上がり、見直す動きが出始めた。(丸山美和)

キャンペーンは飲料や菓子、加工食品などを対象に2018年頃始まった。コロナ禍で在宅時間が長くなり、自宅近くのコンビニを利用する人が増えたことで、キャンペーンの利用者が増えた。1個目と同じメーカーの別の新商品などがキャンペーン対象になることが多い。例えば500ミリリットルサイズの水の購入で、1リットル近いスポーツ飲料がもらえるなどの内容だ。

コンビニにとっては客が再び来店するきっかけとなり、キャンペーン対象品以外の商品も購入する「ついで買い」につながる。1個分の収益で2個を納品するメーカーは損をするように見えるが、商品がキャンペーン対象になることで客の認知度向上が期待できる。キャンペーン後、あらためて購入される可能性も高まる。店舗数が2万店前後の大手コンビニが実施することで受けるメリットは大きい。

こうしたキャンペーンは客、コンビニ、メーカーの「三方よし」に見える。だが現在、あるコンビニは「『無料でもらえないなら買わない』といったお客さまも出始めている」といい「結果として新商品の価値を下げている」と指摘する。

ある大手食品メーカーからは「1個分の収益で2個目を無償提供する負担は大きく、こうしたやり方が認知度向上やブランド育成に本当につながっているのか」と疑問視する声が上がる。さらに、別の大手食品メーカーは「これまでは(2個目無料で)価格を安くして買ってもらう戦略を取ってきたが、今後はそこにかけていた費用をブランド力を上げるために投じる計画」と明かす。

このように戦略を転換する食品メーカーの動きが加速する可能性はあるものの、これらのキャンペーンが一気に終了することはなさそうだ。メーカーのナショナルブランド(NB)ではなく、コンビニのプライベートブランド(PB)もキャンペーン対象になるからだ。すでに実施したコンビニ担当者は「PBで大きな反響があった」と説明する。別のコンビニ担当者は「メーカーの考えもわかる。メーカーとも協力して、三方よしとなるような新たなキャンペーンを企画していきたい」考えだ。

日刊工業新聞 2023年07月06日

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