施工コスト「湿式」の半分…大和ハウスが乾式浮き床で高い防音性実現
大和ハウス工業は防音性が高い乾式浮き床を開発した。新築向けでは一般的だがリフォームでは構造上、施工が難しかった湿式浮き床に迫る防音性を実現した。施工コストは、コンクリートを流し込む湿式浮き床の半分程度に抑えられる。床への衝撃が大きいフィットネス教室やダンススタジオなどが入居する複合テナントビル向けリフォームを中心に、2023年秋から本格的な提案を始める。面積ベースで年間5000平方メートル分の施工を計画する。
厚さ10ミリメートルのアスファルト系防振マットを3枚重ね合わせて防音制振層とし、それを木材のパーティクルボードで挟む。その床を、スプリング内蔵防振ゴムの上に載せる。これによって、遮音性能を10デシベル程度向上できる。コンクリートスラブ(鉄筋コンクリート造の床)からの床高は99ミリメートル以下に抑えられる。
浮き床とはコンクリートスラブ上に防振ゴムなどを配置し、その上に床材を載せることで、内部に空間を持たせた構造の床のこと。そのうち、上に載せる床材部分にコンクリートを流し込んだものを湿式浮き床と呼ぶ。
湿式浮き床は防音性が高く、防音床の大半で採用されている。ただ重量がかさむため構造負担が大きく、床高も高いので、リフォーム時は採用しにくい。
そのためリフォーム時は、コンクリートを流し込まない床材を上に載せる乾式浮き床を採用することが多い。ただ乾式浮き床は防音性が低く、場合によっては施工前より悪化してしまうことが課題とされてきた。今回開発した乾式浮き床は、床材の衝撃音に対する低減性能を示すΔL(デルタ・エル)等級で、重量床として最高等級の「ΔLH―4」を4月に取得した。
日刊工業新聞 2023年07月05日