機能性塗料でインフラ長寿命化に貢献、染めQテクノロジィの技術の核
染めQテクノロジィ(茨城県五霞町、菱木貞夫社長)は、鉄やコンクリートなどの補強やさび防止に役立つ塗料を主力とする。道路やプラント、工場建屋などに用いることで、大規模な修復工事や建て替えに比べてコストを低減できるほか、廃棄物や二酸化炭素(CO2)排出量も削減できる。「社会の困りごとを解決する製品を開発してきた。それが結果的に持続可能な開発目標(SDGs)推進につながった」と菱木社長は話す。
技術の核は、成分をナノメートル(ナノは10億分の1)レベルまで微細化した上で表面張力で接着面を広げる「ナノ密着技術」だ。ナノ粒子が素材表面の凹凸に強力に密着し、一度塗ると剝がれにくい。建築物や設備の劣化抑制、損傷箇所の補修、工場床面の塗り直しなどに使われている。
従来は個人向けのDIY用途がメーンだったが、現在は法人向けが売り上げの7割を占める。高度経済成長期に建設された社会インフラの老朽化が社会課題となる中、モノの再生や延命につながるとして訴求している。
ナノ密着技術を基に、抗菌スプレーや防かび剤といった製品も市場投入している。2021年にはオフィスや学校などの施設向けに、衣類や持ち物に抗菌ミストを噴射するゲート型製品「抗菌Qゲート」を発売。成分が長時間衣類などの表面にとどまり、効果が長続きしやすい。コロナ禍における感染リスクを低減し、安全な暮らしの実現に寄与する。
販売代理店との協力体制強化に向けて、22年から「SDGs事業合意書」を締結している。現在までに約160社と合意書を交わした。「パートナーシップを結んだ企業とは、メーカーと代理店にありがちな上下関係をなくし、対等に意見を言い合える関係を築いている」と菱木社長は説明する。販売代理店側に販売目標を設定してもらうのも特徴だ。
「人口が減っても建築物は増え続けている。建設から2、3年で劣化が始まるため、需要は無限にある」と菱木社長。今後も研究開発力とパートナーシップで成長を目指す。