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川重の次期社長は海外経験20年、鉄道車両のエース

米「北東回廊」の拡販に貢献も、本人は「善く行く者は轍迹(てっせき)なし」
川重の次期社長は海外経験20年、鉄道車両のエース

会見する村山社長(左)と金花次期社長

 川崎重工業は25日、金花芳則常務車両カンパニープレジデント(62)が6月下旬に社長に就任すると発表した。4月1日付の副社長を経て就任する。村山滋社長は代表権のある会長に就く。同日都内で開いた会見で金花氏は「創立120周年の節目にかじ取りを任され身の引き締まる思いだ。ROIC(投下資本利益率)経営を継承し、根幹である資本収益性を上げる。規模だけを追うM&A(合併・買収)はやらない」などと現体制からの継続性を強調した。

金花氏はこんな人


 入社以来、鉄道車両畑を歩み、英国に6年、米国に14年と合計20年の海外駐在経験を持つ国際派。かねて次期社長の本命候補と言われていた。1月末、村山滋社長から「決めたからやってほしい」と後任の打診を受けた。

 川重製の鉄道車両が約4割を占めるワシントン、ニューヨーク、ボストンを結ぶ「北東回廊」での拡販に貢献するなど、顧客と深い信頼関係を築き、事業が米国に根付くのを目の当たりにしてきた。

 エンジニア出身で新しい物好き。豊富な社内人脈を持ち、航空機で使われる炭素繊維強化プラスチックを採用した台車「efWING」の世界初の開発を指揮した。今後も「愚直に技術力を高める」と断言する。

 根に持たない性格。ただ、自身の功績を他人に「言いたがり」なので、老子の言葉「善く行く者は轍迹(てっせき)なし」を胸に「でしゃばらないようにする」と語る。趣味はゴルフ。週末のジム通いを復活させたいとか。
(文=鈴木真央)
<略歴>
金花芳則(かねはな・よしのり)76年(昭51)阪大基礎工卒、同年川崎重工業入社。09年執行役員、11年常務執行役員、12年常務取締役、13年代表取締役常務。兵庫県出身。

日刊工業新聞2016年2月26日3面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
会長に就く村山氏は、三井造船との経営統合を断行しようとした前社長解任に踏み切る形で13年6月に社長に就任。在任3年と短いが、「オープンに議論を戦わせ、粛々と実行する企業風土を醸成した。もともと3―4年を節目と考えていた」という。次期社長の金花氏は、巨額損失を計上したブラジルの造船合弁を受けてリスクマネジメントの強化が命題の一つ。

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