「チャットGPT」アクセス数は世界3位…日本で生成AIの活用はどう進む?
対話型人工知能(AI)「チャットGPT」の登場で生成AIがITのメガトレンドに躍り出た。その自然な対話や膨大な学習データに基づく的確な応答に世界中が沸き、多くの人が使いこなしを模索している。生成AIは今後どう活用が進むのか。幅広い年齢層を対象とした野村総合研究所(NRI)の調査と、国内企業の従業員を対象としたPwCコンサルティング(東京都千代田区)の調査から読み解く。(編集委員・斉藤実)
米オープンAIが提供するチャットGPTへのアクセス数は、うなぎ上り。日本からのアクセス数は4月中旬に1日当たり746万件で「トラフィック(通信量)シェアは米国、インドに次いで3番目に多い」(NRI)。人口を考慮すれば日本は米国、インドよりもの利用度合いが高く、しかも「日本からのアクセスの平均滞在時間は8分56秒で米国の6分50秒、インドの6分27秒よりも長く、日本人の関心の高さがうかがえる」(同)。
NRIが4月中旬に実施した調査では、関東1都6県在住で15―69歳の3204人から有効回答を得た。これによると回答者の61・3%がチャットGPTを認知し、12・1%が実際に利用したことが分かった。職業別でみると、学生が21・6%、教職員が20・5%と多い。対照的に医師・医療関係者は少なく、「回答内容の正確性に疑問がある中で、業務で使う余地はまだ小さいということかもしれない」(同)。
もとより生成AIの普及は、これからが本番。調査では、チャットGPTを使ったことがある人の88・7%が継続して利用したいと回答。調査時点では「日本人の利用者の大半がチャットGPTに対して肯定的な意見を表明している」(同)ことが分かった。
一方、PwCコンサルの調査は、国内の企業・組織に所属する従業員を対象に3月末―4月上旬に実施し、1081人の有効回答を得た。これによると、過半数の54%が生成AIを全く認知していないと回答。生成AIブームの高まりと、実態との乖離(かいり)が浮き彫りとなった。とはいえ認知層に限ると「生成AI活用に関心がある」との回答が60%。生成AIを商機と捉える層(47%)が脅威と捉える層(9%)の約5倍に達するなど、活用には前向きなことが分かった。
一方、予算化や案件推進など具体的な取り組みを開始していると回答した人は8%にとどまり、「生成AIの活用には肯定的だが、実際の取り組みは進んでいない」(PwC)ことが確認された。
同様に認知層に限定すると「業務で生成AIを利用したい」との回答は53%、業務代替を肯定的に捉える層も59%と、いずれも過半数に達した。だが、生成AIによる業務代替は部分的との見解が多数派だった。
生成AIをめぐる議論は尽きないが、その波及力は小さくなく、チャットGPTに次ぐ新サービスの登場などで認知度や利用状況は二転三転しそうだ。