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パナソニック、電力小売りのアウトソーシングやります

子会社のパナソニックコンシューマーマーケティング、立ち上げから運営まで
 パナソニックコンシューマーマーケティング(パナソニックCM、東京都品川区)は、電力小売り事業への参入者を支援する事業を始めた。収支計画の策定や電源確保といった事業の立ち上げ準備から開始後の運営まで支援する。パナソニックの電力調達や新電力(PPS)12社の業務を代行してきた”裏方“での豊富な経験を生かし、新規参入者の要望に応じたサービスを提供する。

 事業開始までのスケジュール策定から国への申請も支援する。事業開始後は業務のほとんどを代行可能。新規参入者の課題である電力の需要量と供給量を一致させる計画作りはもちろん、24時間の監視体制で計画との誤差を修正。電力広域的運用推進機関への計画提出や変更も代行する。

 パナソニックCMはPPSに代わって需給計画を作り、必要な電力を調達する業務を代行している。パナソニックの国内420拠点への電力供給の他にも12社の既存PPSを支援する。PPS業務代行としては最大手のエナリスに次ぐ規模とみられる。

 需要と供給を一致させるためにPPSが余った電力を融通し合うグループを形成する方法がある。パナソニックCMは新規参入者1社ずつに電力を手当し、公正性や透明性を保つ。運用に特定システムを使わないので、新規参入者は自社の既存システムを継続して使える。

 4月からの電力小売り全面自由化が迫り、8日までに169社が電力小売り事業者の登録を済ませた。ほとんどが電力販売の実績がない事業者ばかりで、立ち上げ支援や業務代行のニーズが見込まれる。

既存電力会社は結局、顧客が減らない?


 新電力が自ら電力を調達し、自ら契約先に供給するケースは少ないと思われます。調達・供給といった電力会社の本業ぽい仕事をアウトソーシングしている新電力が大多数です。新電力から調達・供給を請け負うビジネスは「PPS業務代行」などと呼ばれています。

 他にも「代理店」「取り次ぎ」という電力販売もあります。代理店は文字通りで、顧客獲得・契約をやって実際の販売は他の電力会社・新電力に任せる形態です。コンサドーレ札幌などが立ち上げた「エゾデン」は、新電力大手「F-Power」の代理店です。コンサドーレのサポータがエゾデンと契約をしますが、実際にはF-Powerの電力を購入します。

 取り次ぎも似ていて、他の電力会社・新電力から電力を卸してもらって契約者に売る新電力です。契約者から見ると、契約した新電力から購入しているつもりでも、実際には他社の電力です。「既存電力会社よりも安い」とうたいながら、その電力は既存電力会社から安く卸してもらっている新電力もあります。

 これだと既存電力会社は結局、顧客が減っていないのと同じ(思います)。他に複数の新電力がグループを形成し、余った電力を融通しあう仕組みもあります。このケースだど胴元なる代表の新電力が存在し、調整機能を発揮します。
2016年2月24日エネルギーの記事に加筆
松木喬
松木喬 Matsuki Takashi 編集局第二産業部 編集委員
正直、パナソニックが新電力を支援するビジネスをやっているとは驚きでした。しかも電力を調達したり、顧客に届けたりする電力ビジネスの本丸をパナソニックが代行しています。新制度への移行で4月から新電力の仕事が増えます。責任も重大になります。パナソニックにサポートしてもらると、新規参入者は営業など顧客獲得に集中できます。

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