会社の枠超えて自由に挑戦せよ…ロート製薬が副業後押し
ロート製薬は副業での新規事業への挑戦などを支援する取り組みを拡充する。自分がやりたいことの発見につなげる研修を2023年度中に開始し、研修後のフォローアップ環境も整備する。社内起業家支援プロジェクト「明日ニハ」などを活用し、新規事業や既存事業での新たな取り組みに挑む従業員を増やす。会社の枠に捉われない多様な働き方を推進し、社会に貢献する人材を育成する。
22年に明日ニハについて社内アンケートした結果、「挑戦したいことはあるが具体的なことは分からない」「テーマがあれば挑戦したい」と回答した人が多かった。このため挑戦を促すための機会を新たに設けて、「挑戦」という企業文化の醸成につなげる。
新しく始める研修は自分の深掘りやアクティビティー、社会の課題など、やりたいことのヒントになるものを見つめ、挑戦の内容を自らつかみ取れるようにする。他社事例や参加者の関心が高まる内容のものを選び、社外の研修を活用する方針。オンラインと対面式を併用して効率的に開き、参加者にとって意義深いものになるようにする。具体的な内容や日程は今後詰める。
研修後は、起業するために具体的なアドバイスをするなどフォローもする。
毎年行っている明日ニハのエントリーは最大10組程度で、これまで実際に起業した案件として、子ども向けのオンライン料理教室や地域コミュニティービジネス、保護猫を救うためのカフェなどがある。挑戦する内容はロート製薬の本業に直接関係せずとも良く、ウェルビーイングや社会課題の解決などにつながるものであれば推進する。5月には明日ニハの事務局を2人増の5人体制とし、起業を目指す人へのアドバイスや伴走支援する体制を強化した。
一方で、同社は明日ニハだけにこだわらず、社内での兼業や明日ニハ以外での起業などさまざまな選択肢の中で考えてもらいたいとする。「新規事業以外にも今の現場を変えたいなど、自分や企業、社会にとって役立つことに挑んでほしい」(市橋健明日ニハリーダー)。
同社は20年にプロジェクトとして明日ニハを始めた。その前の16年に社外チャレンジワーク(副業)と社内ダブルジョブ(部署兼務)の制度を設け、社内外でより多くの経験を積むための働き方を促してきた。今後もより多くの挑戦を促し「副業をやるのが日常で、やっていないのが特別なことになるぐらいの文化を醸成する」(同)と意気込む。