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半導体ガス増産、関電化が400億円投資で需要急増に備え

半導体ガス増産、関電化が400億円投資で需要急増に備え

関東電化工業の水島工場

関東電化工業は半導体製造用エッチングガスを増産する。ヘキサフルオロ―1,3―ブタジエン(C4F6)の生産量を2023年末までに1・5倍に引き上げるほか、地球温暖化係数(GWP)が低い新規エッチングガスを24年3月までに完成させ、初年度は年150トンを供給する。同社は24年には半導体需要が回復・急増すると予想しており、韓国・中国拠点を含め今後2年間で400億円以上を投資する。

C4F6はシリコンウエハーの表面に回路パターンを形成するエッチング加工の際に使われる特殊ガス。従来は渋川工場(群馬県渋川市)で製造し、22年4月にそれまでの年260トン体制を同400トンに引き上げた。スマートフォンなどに使われている3D―NAND型フラッシュメモリーの多層化が進み、一段と需要が広がると予測。渋川工場に加え、水島工場(岡山県倉敷市)でも生産を始め、23年末までに年600トン体制を確立する。

一方の新規エッチングガス「KSG―14=開発名」は、GWP値が1の二酸化炭素(CO2)より低い数値を実現した地球環境に優しい製品。顧客の半導体メーカーと共同開発し、エッチング性能にも優れているという。現在、水島工場にパイロットプラントを構築して試作品の開発に取り組んでいる。

同社は25年3月期に売上高1000億円、営業利益150億円を目指す3カ年の中期経営計画に取り組んでいる。「半導体需要は調整局面から増加に転じると予想しており、中期計画の目標値は達成できる」と増島亮司取締役執行役員は話す。


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日刊工業新聞 2023年06月08日

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