高速充電用コネクター量産へ、大川精螺がEV業界参入
大川精螺工業(東京都品川区、大川知樹社長)は、電気自動車(EV)業界に参入する。EVの高速充電に使用するコネクターを開発、2024年中に量産を始める。同年春までに水戸工場(茨城県常陸大宮市)に設備を導入して生産ラインを構築。拡大が予想される国内EV市場での需要増加に応える。量産開始後、ティア1(1次調達先)に納入し、日系の完成車メーカーで使用される予定。設備投資額は1億円弱。稼働後は最大月間20万個の生産を目指す。
経済産業省の事業再構築補助金を活用し、量産ラインには既存の切削機械やパーツフォーマー、立型プレスを使用。コネクターの真円度を確認する画像機や運搬ロボット、製品を専用トレーに入れるパレタイジングロボットを新たに導入する。生産ラインはほぼ自動化を想定し、新たな採用はしない計画だ。
大川精螺は成長型中小企業等研究開発支援事業による補助金を活用して約10年前からコネクターの研究開発を推進。切削を最小限にとどめながら大量生産する技術を確立した。ただ国内外のEV需要が低調だったため量産していなかった。
だが、22年のEVの国内販売台数が5万8813台と、統計が残る09年以降過去最高になるなど環境が変化。市場拡大を見込んで量産を決定した。
既に試作品は完成済み。大川社長は「需要が伸びてコネクターが会社の主力製品になってほしい。創業100周年の34年にはEV関連製品で全体の14%に当たる14億円の売上高を目指す」と意気込む。
同社は自動車のブレーキホースの継手金具やスタッドボルトの生産を主に手がける。
日刊工業新聞 2023年06月08日