「1円スマホ」改善か…通信大手、代理店評価見直し
“1円スマホ”と呼ばれる携帯通信端末の安値販売の問題に改善の兆しが見え始めた。販売代理店大手のコネクシオによると、大手通信会社が、代理店を評価する「成績」に占める他社からの乗り換え(MNP)の獲得数の割合を引き下げた。代理店は成績次第で、通信大手からの手数料収入が左右される。MNP獲得数の割合が下がったことに伴い、今後、代理店は過度な値引きキャンペーンを抑制できる可能性がありそうだ。
代理店は端末の販売数や回線契約数といったさまざまな項目で、大手通信会社から目標を定められている。目標の達成度合いによって代理店が通信大手から得られる収入は変わり、目標未達が続いた店舗は閉店に追い込まれるケースもあると言われている。
従来、大手通信会社の代理店評価に占めるMNP獲得数の割合は高く、代理店は点数稼ぎのために過度な値引きのキャンペーンを打ち出す側面があった。ただNTTドコモなどの通信大手が、この割合を4月に変更したもようだ。
コネクシオの目時利一郎社長によると「これまではポートイン(転入)偏重の手数料体系になっていた。これが4月に大きく変わり、ポートインの比重が少し落ちた」。一方で、例えばドコモではクレジットカード「dカード」など、その他サービスの比重が増えたという。ただ具体的な割合の変化は、単純化して示せるものではなく「難しい」(目時社長)としている。
他方、総務省は5月に、回線契約とセットで端末を販売する際の大幅値引きを禁じ、上限を4万円(消費税抜き)とする案を提示した。今夏をめどに報告書をまとめる見込み。こうした規制の動きも1円スマホ問題に一石を投じそうだ。
日刊工業新聞 2023年06月08日