三菱ケミカルG・三井化学の共同物流に東ソーも参画、総合化学メーカーが連携拡大中
三菱ケミカルグループと三井化学が段階的に実行している化学品の共同物流について東ソーが参画する見通しとなった。中京圏など各社の事業所が集積する地域で輸送効率化を狙うほか、物流の標準化や情報基盤整備を含めて協業する。人手不足や残業上限規制に伴う物流の2024年問題などの諸課題に対し、総合化学メーカーが連携を広げ、顧客への安定供給体制を一段と強固にする。
東ソーは南陽事業所(山口県周南市)、四日市事業所(三重県四日市市)など主要拠点を置く西日本地域を中心に三菱ケミカルグループや三井化学と連携し、中小口輸送の効率化などを目指す。
三菱ケミカルグループと三井化学は中京エリアで出荷製品を集約し、同エリア内外に共同輸送する中で、東ソーの四日市事業所との相乗効果を見込む。東ソーと連携することで中国地方や九州向けの物流の効率化にもつながるとみる。
三菱ケミカルグループと三井化学は貨物と車両を最適に組み合わせるデジタル基盤構築などを目指している。一方、東ソーは23日付でデジタル変革(DX)関連を担うIT戦略室をIT統括部に組織改正する予定で、DXによる物流効率の向上を狙う。デジタル技術での連携も重要なテーマになる。
化学製品は安全面から物流時に特別な対応が求められる。物流網の逼迫(ひっぱく)は化学メーカーの事業運営に関わる重要な課題だ。24年4月から物流業界で時間外労働時間の上限規制が適用され、人手不足などが深刻化する見通し。
こうした状況を受け、三菱ケミカルグループと三井化学は1月に共同物流を段階的に実行すると発表。今回、東ソーが共同物流の枠組みに参画する見通しになり、今後も他の化学メーカーとの連携も模索する考えだ。
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日刊工業新聞 2023年06月01日