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核融合発電産業化へ…40者参加の研究会が始動した

核融合発電産業化へ…40者参加の研究会が始動した

核融合実験装置「JT-60SA」

核融合発電の産業化を目指して、企業や業界団体が参加する任意団体「核融合市場研究会」が設立された。研究開発に関する産業界のニーズ調査や情報発信などを進め、産業界の知見を集約する。政府が4月に策定した核融合発電に関する初めての国家戦略を策定した。原型炉の開発加速やスタートアップの育成などに取り組む方針を示す。研究会では集約した意見を、政府が設立を予定する核融合産業協議会に反映させたい考えだ。(小林健人)

核融合市場研究会には重工や重電、大手商社、電機、通信など、さまざまな業界から37者が参加した。日本の核融合スタートアップ3社も加わった。初回の会合では国家戦略の概要や世界の研究開発状況が取り上げられた。

世話人を務める神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科の尾崎弘之教授は「世界的には官民協力のパートナーシップが進んでいる。日本にも、その仕組み作りが必要だ」と話した。今後、研究会では参加企業からのフィードバックを受け、技術的な深掘りなどを行う。24年2月末まで開催し、意見を集約。23年度内に設立予定の産業協議会へ共有する。

核融合は重水素と三重水素の原子核をプラズマでぶつけて核融合反応を起こし、生じた熱を使い発電する。発電時に二酸化炭素(CO2)を排出しない次世代エネルギーと期待される。

従来、核融合は国際プロジェクトの「イーター」を中心にした国際協力がメーンだったが、技術の優位性を競う国際競争の時代に突入している。

10年代からは米国を中心にスタートアップが数多く生まれている。米コモンウェルス・フュージョン・システムズ(CFS、マサチューセッツ州)は2000億円以上の資金調達に成功するなど、民間資金が流入している。

日本でも核融合の関連部品を開発する京都フュージョニアリング(東京都千代田区)が産業革新投資機構傘下のJICベンチャー・グロース・インベストメントや三菱商事などから105億円の資金調達を実施した。

日刊工業新聞 2023年05月29日

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