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ナトリウム電池市場は1.5兆円超に急拡大する!

調査会社の英IDTechExはナトリウムイオン電池(SIB)について、2033年までに110億ドル超(1兆5000億円超)まで市場が急拡大するとの調査リポートをまとめた。世界全体での需要は25年に想定される1000万キロワット時から33年には7000万キロワット時近くまで伸びるとみている。

SIBは最新のリチウムイオン電池(LiB)に比べエネルギー密度が低く、性能面では劣る。

一方でナトリウムは地球上に大量に存在することから、安価で発火しにくい、氷点下でも機能するといった利点がある。

4月の上海モーターショーでは、世界最大の電池メーカーである中国・寧徳時代新能源科技(CATL)が時期を明らかにせずに中国・奇瑞の電気自動車(EV)にSIBを搭載すると発表。大きな話題となった。

ただSIBの市場や技術、サプライチェーン(供給網)について解説した同リポートでは、その性能面から、通常のEVよりも定置型電池や2輪・3輪車、小型EVに向くとしている。

同リポートによればSIBを手がける電池メーカーは世界で15社程度存在。インド財閥リアイアンスに買収された英ファラディオンや、鉛蓄電池大手の米クラリオスと共同で23年にSIBの量産に入る米ネイトロンエナジーなどを取り上げた。他社も25年までに商用化を目指すという。

中国ではバッテリーの安定供給と市場優位性を目指す政府の方針からSIBに注力。

中科海鈉(HiNaバッテリーテクノロジー)では、100万キロワット時の太陽電池向け蓄電池に続き500万キロワット時クラスの量産も予定するという。

日刊工業新聞2023年5月25日

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