ニュースイッチ

ニコン、回路線幅7nm対応のArF液浸露光装置を発売

微細化、次は「ポスト・ムーア時代」に? 
 ニコンは、フッ化アルゴン(ArF)液浸露光装置の新製品「NSR―S631E=写真」を発売した。半導体の性能を左右する回路線幅を7ナノメートル(ナノは10億分の1)まで細くできる。従来機種「S630D」は10ナノメートルまでの対応だった。先端のプロセッサーやメモリーを手がける半導体メーカーに提案する。価格は数十億円。

 先端のArF液浸では複数回に分け回路パターンを露光し、線幅を微細化する「多重露光」技術が使われている。この多重露光においてカギを握るMMO(同一機種間の重ね合わせ精度)でS631Eは2.3ナノメートル以下(従来機は2.5ナノメートル以下)を実現した。

 また300ミリメートルウエハーで毎時270枚以上(従来機は同250枚)の処理を可能にした。米インテルなどの大手半導体メーカーが10ナノメートルを下回る回路線幅の製品の実用化を進めている。ArF液浸露光装置はオランダのASMLのシェアが圧倒的。ニコンはS631Eで巻き返しを図る。
2016年2月23日 電機・電子部品
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
論理LSIの微細化は7nm世代までは行くがその先が難しい。リソグラフィーのコストが増え、ArF液浸でも限界だろう。業界では次世代と見られているEUVの開発も遅れている。今後の方向性として考えられるのが、まずNANDフラッシュメモリーで実用化が始まった3次元積層による大容量化。もう一つはチップを用途に応じてカスタマイズする方法。「レゴブロック方式」などのプロジェクトも出てきている。

編集部のおすすめ