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設備・研究に1.2兆円投資、京セラが創業以来初めて中計をまとめた背景

京セラは16日、2026年3月期までの3年間で設備投資・研究開発費に最大1兆2000億円を投じる中期経営計画を発表した。売上高は26年3月期に23年3月期比約2割増の2兆5000億円を目指す。投資額は過去最大の規模となり、特に「足元でメモリー系の市況が落ち込んでいるが、非常に早いスピードで成長している需要をつかむ」(谷本秀夫社長)として、半導体関連での投資を積極化する。

京セラが中期計画をまとめるのは創業以来今回が初めて。半導体市場の動向など中長期を見据えた投資計画の必要性が増したことがその背景にある。谷本社長は「建築資材の長納期化や建築人材不足で、工場建設から生産開始までのサイクルが伸びている。3年先まで見通した上で、投資計画を立てる方針になった」と説明する。

3年間での設備投資額は8500億円で、そのうち半分近くとなる約4000億円を、半導体パッケージや半導体製造装置向け部品など半導体関連部品を手がける主力のコアコンポーネント事業に割り振る。それにより同事業売上高を23年3月期から3割超上回る7800億円に伸ばす。

電子部品事業では米子会社の京セラAVXコンポーネンツとの連携を強化し、タンタルコンデンサーや水晶部品、積層セラミックコンデンサーなどでシェアを拡大し、売上高は同3割強増の5000億円を計画。

ソリューション事業は機械工具事業や、プリンターなどの情報機器事業への成長投資を維持する一方、赤字が続く太陽電池事業や通信機器事業は構造改革を進める。売上高は同1割強増の1兆2500億円を目指す。 谷本社長は「電子部品や切削工具など当社が強い領域でシナジーを発揮できる企業で実施したい」と、さらなる成長に向けてM&A(合併・買収)にも意欲を示した。


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日刊工業新聞 2023年05月17日

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