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売上高100億円超だったが…投資用ワンルーム工事会社が自己破産、注目すべき破綻要因

投資用ワンルームマンションの新築工事のほか、改修工事や建材販売などを手がけたユービーエムは、2023年2月6日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。

同社の設立は91年。一般個人などの投資家から直接受注を得るほか、マンションデベロッパーからの直接受注も得て特に近年業績を伸ばし、22年4月期の年売上高は約105億300万円と事業を拡大していた。その後も受注は堅調に推移する一方、新型コロナ感染拡大などの影響で、一部案件で工期の遅れが発生。22年末には支払い延期要請が一部で聞かれるなど信用が急速に悪化する中、「1月30日に従業員に自宅待機命令がされたようだ」との一報から事態はさらに悪化。翌31日から同社と連絡難の状況となり、6日に東京地裁へ自己破産を申請した。

今回注目すべきは同社の破綻要因。直近2期は売り上げ100億円を超えるほか、破綻時受注していた工事は、未着手のものも含め73件あったようで、一定以上の受注は得ていたことがわかる。しかし、1月31日に決済不履行となるなど資金繰りが悪化した要因は入金サイトと支払サイトの差だろう。同社は施主との請負契約で、分割で代金を支払う旨が定められていたようだが、数年前から完工時に支払われる比率が高くなる契約が増加したことでキャッシュフローは悪化。また、資材高騰などで利益率が減少し、赤字案件が増加したことも同社の損失が膨らんだ要因となっていった。

実際に決算書をみると21年4月期末にあった12・4億円の現預金は、翌期末には9億円に減少、さらにこの9億円も直後に支払いがあったため、実際の現預金は約7000万円程度と売り上げ規模と比較するとあまりにも心もとない状況となっていた。さらに同年11月末時点では現預金が4800万円にまで落ち込む中、金融機関や従業員などからも借り入れを行ったが、竣工金の入金が遅れたことで、資金がショート。破綻へと至った。(帝国データバンク情報部)

日刊工業新聞2023年5月4日

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