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金融機関で導入増、補助金・助成金対応を支援するクラウドサービスのメリット

Stayway(大阪市、佐藤淳CEO)は、企業などの補助金・助成金対応を支援する自社クラウドサービス「補助金クラウド」シリーズで、金融機関向けサービスの導入を進めている。これまでに北陸銀行や北海道銀行、メガバンクなどの金融機関が同サービスを導入・活用し、顧客の補助金申請を支援。Staywayは新たに、金融機関が補助金の情報収集や提案状況といったデータを可視化する「ダッシュボード機能」の提供を始めた。

同社の佐藤CEOは、「我々が金融機関との取り組みで留意していることは、職員などのユーザーにいかに利用してもらえるかということだ」と語る。「金融機関が補助金クラウドを使うメリットの一つとして、外注で丸投げになり把握できていない大事な顧客の申請状況をシステムで把握できる」(佐藤CEO)。

ただ、金融機関の職員らがシステムを使いこなすためには、金融機関内の補助金に関する営業活動の可視化が課題だった。そこで今回、ダッシュボード機能が追加されたことにより、注目されている補助金や、補助金の活用状況などが一目で分かるようになった。

一方、ユーザーの1社である北陸銀行は、コロナ禍で補助金の対象となる企業の裾野が広がり、本部や各支店で対応しきれないほどの相談が顧客企業から寄せられるようになった。「補助金を申請する顧客企業数が増えたことによって、銀行が把握しきれないところで投資金額が膨らみ、融資対応困難なケースも発生していた」(飯田竜二同銀コンサルティング営業部公的サポートチーム主任)という。

北陸銀は以前、「顧客企業から支店で補助金について相談されると、支店からの問い合わせを受けて、本部が手作業でWeb検索や省庁のホームページに当たるなどしていたが、補助金クラウドの導入により、支店レベルで簡単に探せるようになった」(飯田主任)。

今では、支店から本部に補助金に関する相談や問い合わせがほとんど無くなった。このため本部は、経営計画書の作成支援に時間を割けるようになっている。さらに同行は、「補助金申請を本部の担当者が直接支援する場合には、着手金と採択時の成功報酬を申請企業から得ている」(同)ため、補助金関連業務が銀行の収益にもつながっている。

Staywayが中小企業100社を対象にアンケートを取ったところ、約28%の会社が「補助金申請の経験なし」と回答した。補助金制度の問題点としては主に、①種類が多い②申請から補助金受け取りまでに時間がかかる③後払いのためつなぎ資金を用意する必要がある―の3つが挙げられる。

補助金に関する情報を扱うサイトは複数あるが、同社によると官庁、地域、外郭団体の出す補助金情報を横断的にカバーし、自動リコメンド機能が付いたサービスは他に類を見ない。ただ、補助金クラウドの使い勝手の面では改善の余地があり、ユーザーがサービスを利用中に質問すると、自動で答えが返ってくるチャットボット機能の実装なども進められている。(取材=宮里秀司)

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