ニュースイッチ

酒井重工が米投入、ブレーキ付き大型ローラー戦略新商品の特徴

酒井重工が米投入、ブレーキ付き大型ローラー戦略新商品の特徴

米国に投入予定のブレーキ付きアスファルトローラー「SW884」

酒井重工業は米国市場で、2024年早々にアスファルトローラーの戦略新商品「SW884」を投入する。13トン級の大型ローラーで、労働安全対策として緊急ブレーキを標準搭載している点が最大の特徴。オプションで後付けする商品や建機レンタル会社が独自にカスタマイズする商品を除き「最初からブレーキを標準搭載しているローラー商品は米国ではまだ例がない」(吉川孝郎執行役員)とし、高付加価値の差別化商品として売り込む。

緊急ブレーキ装置を付けたローラーは、日本ではすでに発売中。ミリ波レーダーで車体後方に電波を飛ばし、運転席から死角であるゾーンに人が近づいたりした場合は警告音を出し、それでも無反応な場合に車体を緊急停止させ、事故を防ぐ。

舗装現場では高温のアスファルトの作業温度や品質を確認するために、しゃがむことが多く事故が起きやすい。夜間工事や街中の工事では他の車両の騒音にかき消されて、警告音が聞こえにくい実情もある。

SW884は緊急ブレーキなど基幹部品を日本から供給し、米ジョージア州アトランタ市の工場で組み立てて生産する。インフレが進む米国では建設現場の人件費も日本より高く、人手不足の状況が続いている。緊急ブレーキの標準装備で価格は多少割高になるが、安全性で差別化できる上に工事会社も作業者への安全配慮をアピールできる。

酒井重工業の北米売り上げは好調が続く。22年4―12月期の売上高は前年同期比56・2%増の50億円と大幅増で、23年度も伸びを見込んでいる。


【関連記事】 建機メーカーが大注目する異色のレンタル会社
日刊工業新聞 2023年05月01日

編集部のおすすめ