トヨタ運営の病院が新棟開院、活用する自動車事業のノウハウ
トヨタ自動車は、運営する企業立病院「トヨタ記念病院」の新棟を1日に開院した。救急の受け入れ態勢や手術、がん治療の機能を充実させたほか、免震構造を採用しヘリポートを設けるなど大規模災害対応を強化した。トヨタが開発した薬剤搬送ロボットの導入やトヨタ生産方式(TPS)の活用など、自動車事業のノウハウも活用して作業効率を高め、患者に接する時間を増やす。
新棟は地上9階、地下1階建てで、延べ床面積は旧病院の1・4倍となる7万5000平方メートル。病床数は現在と同じ527床だが、個室を同51室増の233室に増やした。
薬局から病棟へ注射薬を運ぶ際に、トヨタと記念病院が共同開発した搬送ロボを導入する。自動運転技術などを応用し、障害物や人などを検知しながら自動で行き来する。看護師の業務の約4割を占める搬送業務を削減する狙い。まずは9台を運用し、年末にかけて25台に増設する。薬剤だけでなく検体や医療機器への拡大も目指す。また作業台などにトヨタの技術者による「からくり」を採用し、作業性を高めた。
手術支援ロボ「ダヴィンチ」を1台から2台に増設し、コンピューター断層撮影装置(CT)と血管撮影を同時にできるようにするなど、高度な医療にも対応する。岩瀬三紀病院長は「新しい将来の医療のあり方を目標にしたい」と話す。
日刊工業新聞 2023年05月01日