ニュースイッチ

リチウム金属負極の寿命5倍に、物材機構が高強度ゲルで保護膜

物質・材料研究機構の玉手亮多独立研究者とペン・ユエインICYS研究員、西川慶主幹研究員らは、リチウム金属負極電池の寿命をゲル電解質保護膜で5倍に伸ばすことに成功した。高強度ゲルで保護すると充放電耐久性が200時間から1000時間に延びた。リチウム金属はエネルギー密度が高く、究極の負極材料とも呼ばれる。リチウム金属を使いこなす一歩になる。

リチウム金属の表面を保護するゲル電解質を化学架橋から水素結合架橋に切り替えた。ポリマーの側鎖が水素結合して3次元(3D)構造を形成する。電池の電解液には高濃度のリチウム塩が含まれ、塩析のように水素結合を強化する。体積が10分の1に圧縮されても復元できた。

このゲルでリチウム金属負極の表面を保護すると負極の耐久性が1000時間に延びた。実際に電池を組むと充電サイクル数が約50回から100回以上に増えた。今後、保護膜の厚みの最適化などを進める。

日刊工業新聞 2023年04月27日

編集部のおすすめ