三笠製作所がドバイ警察と共同開発、最先端“移動交番”の全容
三笠製作所(愛知県犬山市、石田繁樹社長)は、都市の中を巡りながら、遺失物の紛失・盗難届を受け付けたり、交通違反などの検知・通報をしたりする移動式交番「SPS―AMV」の共同開発をアラブ首長国連邦(UAE)ドバイ警察と進めている。パトカー搭載用の360度カメラなどをドバイ警察に納めていた関係から要望を受け、実用化に挑んでいる。2018年にコンセプトモデルとなる1号機を納入したのに続き、このほど、2号機を納め、公道などでの実証実験を始めた。街の治安維持のために自ら動く交番の実現に向け、着々と歩を進めている。
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2号機は角張った1号機に比べ全体に丸みを帯びた流線型となった。「量産に向けてかなりデザイン画に近い流線型に変えた」(石田社長)という外見だけでなく、機能性も向上。車高は1号機より25センチメートル高くなり、坂が多いドバイ市内の道を走りやすくした。一方、車高を上げることで乗降性が落ちるのを防ぐため、「ユニバーサルデザインとして、車いすを使っている人でも乗り降りしやすいように出入り口にスロープを付けた」(同)。
また、搭載する360度カメラにより車の速度違反や駐車違反の自動検知などを実現し、ドバイ警察のパトロール業務の負担軽減につなげる。
操縦は米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」搭載のタブレットからできる。ドバイ警察の要望をもとに障がい者などが操縦の仕事を請け負えるようにするために施した仕組みだ。アンドロイドをベースにシステムを組んだその中身はいわば“走るスマートフォン”ともいえ、「新しいアプリケーションを導入してもらえば、どんどん機能をアップデートできる」(同)。
三笠製作所はこのほか自動運転ロボットの開発やゲーム対戦競技「eスポーツ」の実業団チームの運営といったユニークな事業にも取り組んでいる。移動交番については、今後、実験で洗い出す課題をもとに、機能強化した後継機作りを重ね、実用化につなげる考えだ。
▽所在地=愛知県犬山市犬山南笠屋8の3▽代表者=石田繁樹氏▽創業=78年(昭53)5月▽資本金=1000万円