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地域中核大学など支援する文科省事業の“前哨戦”…名乗りを上げた大学は?

文部科学省は「地域中核・特色ある研究大学の連携による産学官連携・共同研究の施設整備事業」の採択30件を決めた。提案大学は国立22、公立2、私立6の30大学。うち東京農工大学など8大学は、施設整備の予算をともに措置する「連携大学」を置く。地域の中核大学や特定分野に強みを持つ大学を支援する「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業」採択を目指す大学の前哨戦の結果として注目される。

文科省は、大学ファンドを活用し世界最高水準の研究大学を育てる「国際卓越研究大学制度」と地域中核事業の2本立てで、全国の大学の研究力強化を目指している。施設整備事業は地域中核事業と連動し、共同研究などに必要な施設の整備を支援するのが狙いだ。

施設整備事業では提案56件のうち、30件を採択した。東京芸術大学と香川大学、滋賀大学と国私立3大学といった連携事例も選んだ。地域中核事業の公募は5月以降に始まり、最大25件が採択される予定だ。

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日刊工業新聞 2023年04月24日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
今回の施設整備事業での提案は、「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業」への応募が前提となっている。今回の採択大学(と連携大学)は、本命の事業でも重ねて登場するということだ。つまり本命事業の採択25件の枠を、今回の応募56件+αで競うことになる。競争率は2倍強、「もしかしたらいけるかも」と力が入る数字ではないだろうか。 また今回の事業で連携大学は表に出ているが、資金配分なしで協力する「参画大学」が隠れている。それをあわせてみると「単独申請はほとんどなかった」(文科省の産業連携・地域振興課)という。どうやら本命事業の大半は、複数大学との協力した形での提案となりそうだ。他大学の作戦を適度に気にしながら、それぞれのプランのブラシュアップに取り組んでほしい。

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