“土木のアポロ計画”と呼ばれた「東京湾アクアライン」、写真家が捉えた知られざる魅力
写真集『アクアライン 知られざる姿』刊行
軟弱な海底地盤を舞台にした工事の難しさから「土木のアポロ計画」と呼ばれた「東京湾アクアライン」。千葉県木更津市と川崎市を結ぶ全長15kmの有料道路が2022年12月に開通25周年を迎え、その魅力を映し出した写真集『アクアライン 知られざる姿』が発売された。撮影は写真家の山崎エリナさん。山崎さんは国内外で活躍し、ここ数年は人々の生活を陰で支える土木の世界に魅せられ、工事現場で働く人たちの姿を撮影している。橋梁や高速道路などのメンテナンスの現場で撮影した『インフラメンテナンス』などが話題を呼んだ。山崎さんに写真集『アクアライン』に込めた思いを聞いた。
「構造物の美しさや緻密さはもちろん、それを守る人たちの魅力を伝えたいと思いました」。
撮影期間は2021年8月-22年12月。山崎さんはその期間に何度も現地に通い、アクアラインという構造物の魅力はもちろん、その保守に日々汗をかく人たちの多様な場面をカメラに収めた。その中の一つとして、巨大な構造物に向き合う小さな作業員の姿は目を引く。
「人がこれほど大きなものを作ったのかと。アクアラインの壮大さを感じてもらえるのではないでしょうか」
それぞれの写真には撮影した場所などの説明文をあえて付けず、一部の写真は巻末に「写真解説」としてまとめた。
「私自身、撮影当初は自分がどの場所にいるのかわからず、探検隊のようにアクアラインの全貌を徐々に知っていく面白さがありました。読者にもぜひそれを追体験してほしいです」
写真集はインフラ業界の関係者はもちろん、一般の人や子供にも見て欲しいという。
「アクアラインを走るあの爽快感を陰で支えている人たちがいることを色々な人に知ってもらいたいですね」
【アクアライン 知られざる姿】
出版社:グッドブックス/判型など:B5判 120ページ/価格:2400円(税別)
【略歴】山崎エリナ(やまさき・えりな)兵庫県神戸市出身。1995年渡仏、パリを拠点に3年間の写真活動に専念する。40カ国以上を旅して撮影。国内外で写真展を多数開催。海外での評価も高く、ポーランドの美術館にて作品収蔵。ダイオウイカで話題になったNHKの自然番組ではスチールカメラマンとして 同行し深海を撮影した。18―19年には「インフラメンテナンス写真展」を福島、仙台、東京ビッグサイトにて開催。写真集に『アイスランドブルー』『千の風 神戸から』『ただいま おかえり』『三峯神社』『インフラメンテナンス ~日本列島365日、道路はこうして守られている 』『トンネル誕生』『Civil Engineers 土木の肖像』『鉄に生きる サスティナブルメタル 電気炉製鋼の世界』などがある。
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