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公共交通で採用1.5倍に…三井住友カードがタッチ決済で攻める

公共交通で採用1.5倍に…三井住友カードがタッチ決済で攻める

三井住友カードが23年度に100社以上に広げるタッチ決済システム「ステラ・トランジット」

三井住友カードは、タッチ決済システム「ステラ・トランジット」を採用する公共交通事業者を2023年度に現在の約1・5倍の100社以上に増やす。インバウンド(訪日外国人)需要の回復で首都圏・関西圏を中心に空港や新幹線主要駅に乗り入れる事業者の導入を促す。観光や商業施設とのデータ連携による地域活性化や業務効率化を図ることができるシステムとして、地方の事業者にも売り込む。(大阪・市川哲寛)

「ステラ・トランジット」ではクレジット・プリペイド・デビットカード、モバイル・ウエアラブル端末を改札機にタッチすると通過でき、運賃計算して決済する。クラウドシステムの活用で従来の交通システムに比べ開発や管理も含めたコストを低減できる。後払い方式のため上限運賃や時間帯別運賃などで柔軟に運用しやすい。

ステラでタッチ決済できるクレジットカードでは「23年中にマスターカードを対応可能にして、国際ブランドがほぼそろう」(トランジット事業推進部)と説明する。またタッチ決済に対応する非接触チップが「24年にVISA(ビザ)の全カードに搭載される。26年までには他のブランドも含めて国内の全カードに搭載の見込み」(同)であり、利用者の利便性向上をアピールして拡販する。

タッチ決済は世界で普及が進むが、主要都市の地下鉄の利用者数上位20位までのうち東京だけが未採用だ。シンガポールでは紙の磁気乗車券が廃止され、ニューヨークでも磁気カードが23年中に廃止予定。日本を訪れた外国人がスムーズに移動するにはタッチ決済の必要性が高まっている。

国内では東急電鉄南海電気鉄道大阪メトロ、福岡市地下鉄が25年度までに全線導入する計画。南海では沿線の商業施設でのクレジットカード会員の使用額が7%増えた。福岡市地下鉄のデータ分析では映画や劇場、美術館などリアル体験の業種で消費が多かった。これらを生かした戦略策定も可能になる。

首都圏や関西圏を中心に自動改札機はほぼ10年おきの更新時期でもあり、導入を促す。24年予定の紙幣デザイン変更に伴って運賃箱の紙幣読み取り部の改良が必要な事業者に対しては低コストシステムとして提案する。

通勤定期客数はコロナ禍前に戻っていないなどで交通系集積回路(IC)カードの成長が鈍っている。「国内でのクレジットカードの契約枚数は交通系ICカードの累計枚数を上回っている」(同)のを強みに、ICカードと異なるチャージ不要決済システムとしてアピールする。


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日刊工業新聞 2023年04月14日

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