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内燃機関部品の技術生かす、水素エンジン開発にかけるリケンの本気度

内燃機関部品の技術生かす、水素エンジン開発にかけるリケンの本気度

水素エンジンの実機評価を行う現在のベンチ室

リケンは水素エンジンの開発体制を強化する。柏崎工場(新潟県柏崎市)で、水素エンジンの実機評価を行うベンチ室を現在の1室から6月に3室増設し、計4室とする計画。そのうち1室は大型エンジンの評価ができる体制とし、従来の中型エンジンに加え、大型トラックや建設機械向けなど幅広い水素エンジンの試験に対応する。

水素エンジン用のベンチ室は、元々ガソリンエンジンやディーゼルエンジンの評価を行っていた既存の建屋を水素用に改修したもの。今回の拡張も同じ建屋を活用する。投資額は非公表。

現在のベンチ室と同じ広さの2室と、2倍の広さで大型エンジンの評価ができる1室を設け、面積は従来の約5倍となる。

自動車メーカーや部品メーカーから試作の引き合いが多く、拡張を決めた。2022年5月に稼働した現行のベンチ室では主に中型エンジンの試験を扱っているが「大型エンジン評価のニーズが高まっている」(小林弘幸最高技術責任者〈CTO〉)ため対応できる体制とする。

リケンはガソリン・ディーゼルエンジンを水素エンジンに転換する技術の開発を進めている。ベンチ室での試験・評価で開発のノウハウを積み上げ事業化を目指す。

その一環として、事業所間を走る社用車の小型トラックを水素エンジン化する計画も構想。25年度以降にも公道を走らせる考え。

水素エンジンの基本構造はガソリンエンジンとほぼ同じで、同社が主力とするピストンリングなど内燃機関部品の技術を生かせる。脱炭素化に向け、水素だけでなくバイオ燃料や合成燃料(eフューエル)などの次世代燃料の評価にも取り組む。


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日刊工業新聞 2023年04月14日

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