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料飲店向け販売4割増、「ビール市場」が活気づいてきた

料飲店向け販売4割増、「ビール市場」が活気づいてきた

ビール市場が業務用を中心に好調だ

ビール市場が活気づいてきた。コロナ禍でのマスク着用を含めて3年ぶりに行動制限が解除され、繁華街やイベントなどに賑(にぎ)わいが戻ってきたことが背景にある。12日に発表されたビール大手4社の3月のビール類(ビール、発泡酒、第三のビール)の合計販売数量は前年同月比4%増と2カ月連続のプラスとなった。中でも料飲店向けの業務用(瓶と樽)が同40%増と顕著に伸び、盛り上がりを象徴している。(編集委員・井上雅太郎)

3月の市場はカテゴリー別でビールが前年同月比10%増と3カ月連続のプラス。業務用が同2・5倍と突出してけん引した2月の同23%増と比べれば3月は減速した感があるが、2ケタ増の好調さを続けている。「2022年のような、まん延防止等重点措置の制限が解除されたことで業務用が大きく伸びている」(キリンビール)、「訪日外国人も増えてきてビール需要は業務用を中心に堅調だ」(アサヒビール)と好調さを強調した。

その半面、第三のビールは同9%減と6カ月連続のマイナス。各社が10月の酒税改正を踏まえビール商品を拡充しているほか、好調な業務用需要に量販店向け需要から一部流れる傾向がある。

各社別にみるとアサヒはビール類(金額ベース)で同5%増。主力ビール「スーパードライ」が同2%増で、このうち業務用が同33%増と伸長した。キリンはビール類(数量ベース)で同1%減。主力ビール「一番搾り」が同11%増と好調。業務用が同40%増でけん引した。

サントリーはビール類(同)で同23%の大幅増。業務用は同約50%増。同社は「主力『ザ・プレミアム・モルツ』などが好調で、ビールカテゴリーは同67%増だった」と強調した。サッポロビールはビール類(同)で同5%増。業務用は同約40%増だった。

発泡酒が6カ月ぶりに21%の大幅増のプラスに転じたのはイオンのプライベートブランド(PB)「バーリアル」(キリンビール製)が第三のビールから発泡酒に移行した影響が大きいという。

今後の市場の見通しについては堅調にみる向きが大勢だ。キリンは「堅調とみるが、22年4月以降はまん延防止等重点措置が解除されたため前年対比の大きな伸びは抑えられそう」とやや慎重な見方を示す。それでもアサヒは「業務用の需要は堅調で、マイナスの要因は見当たらない」と指摘する。また、サッポロは「外食への抵抗感が薄れ、宴会需要も戻ってきた。業務用の回復が想定できる」と見通す。行動制限がなくなり、ビール市場にも回復の足音が聞こえてきた。

日刊工業新聞 2023年04月13日

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