ニュースイッチ

山陽特殊製鋼が商品化、硬度・靱性を両立した「高炭素鋼」の性能

山陽特殊製鋼が商品化、硬度・靱性を両立した「高炭素鋼」の性能

タフィット製のカッタリング。コマツ製トンネル掘削機の外観とカッタリングの形状(右)

山陽特殊製鋼は、耐割れ性や耐衝撃性といった靭(じん)性を高めた高炭素鋼「TOUGHFIT(タフィット)」を商品化した。まずコマツがトンネル採掘機のカッタリング材料として実用化。高硬度と高靱性を両立し、製造工程の熱処理で二酸化炭素(CO2)排出を抑えられるなど、カーボンニュートラル温室効果ガス排出量実質ゼロ)に貢献できる。今後さまざまな分野への展開を目指す。

山陽特殊製鋼はコマツ、大阪大学と連携し、0・6%以上の炭素を含む高炭素鋼について、鋼中の結晶粒界に沿って割れが生じやすい弱点を解消。結晶粒界の強化とともに結晶粒内の組織状態を適正化する合金成分と熱処理条件を見いだした。焼き入れ焼き戻しによるビッカース硬さ700HVの硬度状態で、従来と同等の硬さの鋼材に比べて約10倍以上の靱性値を実現した。

高炭素鋼は自動車や建設機械の軸受けやギヤ、シャフトなど耐摩耗性が求められる動力伝達部品で使用される。タフィットは高靭性を兼ね備えており、これら部品の長寿命化のほか、部品の小型・軽量化にもつながる。

日刊工業新聞 2023年04月12日

編集部のおすすめ