再生から成長フェーズへ…抜本改革進めてきたフジクラ、今後の財務戦略
フジクラは、収益力が大幅に回復し、再生フェーズから成長フェーズへ軸足を移し始めた。2019年度に光関連製品の競争激化やコロナ禍の影響で急速に業績が悪化し、20年度を最終年度とする中期経営計画を断念。事業再生計画「100日プラン」を策定し、抜本的な経営改革を進めてきた。23年度からは、25年度を最終年度とする次期中期経営計画を始める。グループ全体の資本政策には見直しの余地があるとし、さらなる改善を目指す。
フジクラの竹本浩一取締役最高財務責任者(CFO)は、成長フェーズへの移行にあたり「タイムリーに投資できるように、いかに十分な投資原資を構えるかが大切だ」と語る。基本的には、事業から出るキャッシュフローを投資原資に充てて、財務の安定性を図る。次期中計では、戦略的なキャピタルアロケーション(資本配分)を示す方針だ。
事業から確実にキャッシュを生み出すことに加え、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC、仕入れから販売による現金回収までに必要な日数)の短縮を目指す。4月には全社的なサプライチェーン・マネジメント(SCM、供給網管理)を導入予定だ。従来、事業ごとに部品の調達や物流対応をしていたが、全体最適を意識したSCMの推進によって、製品供給までのリードタイムを短縮し、キャッシュフローなどの改善につなげる。
自己資本比率は改善傾向にあり、できるだけ早期に50%達成を目指す。19、20年度は30%を下回るなど落ち込みを見せたが、21年度は約36%まで回復した。22年度も上期ベースの水準で推移すれば40%に到達する見込みだ。ただこの状況について竹本CFOは「10年前のレベルに戻ったので、早く50%超の水準に引き上げたい」と語る。また投下資本利益率(ROIC)についても数字のみで判断するのではなく、各事業で定めたベンチマークと比較しながら企業価値向上につなげられる経営を目指す考えだ。