住友化学が東大・東工大・理研と共同研究、次世代量子デバイス材「強相関電子材料」が秘める可能性
住友化学は、次世代量子デバイスの重要材料の一つの「強相関電子材料」について東京大学と東京工業大学、理化学研究所との間で共同研究を始める。4月に各大学と研究所に研究拠点などを設ける。研究員が複数の組織に所属して研究するクロスアポイントメントも活用して連携を深め、研究成果の最大化や早期の社会実装を目指す。
3者との連携により、強相関電子材料について原理探求や材料設計、コンセプト検証まで幅広く研究する。推進体制として、東大には「新しい物理現象を用いた次世代環境配慮デバイスの開発」をテーマとする社会連携講座を開設する。東工大には「住友化学次世代環境デバイス協働研究拠点」を設置。理研では「強相関電子材料環境デバイス研究チーム」を発足する。
同材料は、電子同士が強く相互作用しあう物質群のことで、エレクトロニクス分野に革新をもたらす量子マテリアルとして注目されている。数多くの電子が電荷やスピン、軌道を通じて複雑に相互作用し合い、通常の金属や半導体では考えられない高速、省電力、多機能性といった特性を持つ可能性を秘める。
将来、産業分野で、超低消費電力で駆動可能な次世代メモリや、光や熱などの身近なエネルギーを高効率で電気に変換する環境発電デバイスなどに利用される期待がある。
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日刊工業新聞 2023年03月29日